2011年11月28日月曜日

端材でオブジェ



楽器を作る際に出た端材で
オブジェを作ってみました
いい息抜きになりました

2011年11月25日金曜日

駒王丸と高麗王若光 その3


きょう、八木書店から刊行されている「楽只堂らくしどう年録 第一巻」を手に入れました。この本については後日詳しく紹介するつもりですが、楽只堂とは徳川五代将軍綱吉の側用人として仕えていた柳沢吉保(よしやす1658~1714)の号だということです。
楽只堂年録は吉保の公用日記が翻刻刊行されるにあたって付けられたものだそうですが、この最初に吉保の先祖の家系が記されています。
その書き出しを少し写してみます・・(旧字は新字に直しています)

信定 
「青木尾張守と号す、吉保が高祖父なり。そもそも青木氏は昔時、清和天皇五代の孫、伊予守源頼義の三男、新羅三郎義光、甲斐守に任ぜしより子孫彼国に充満す。これ甲斐源氏の太祖なり。」
このように、「駒王丸と高麗王若光 その2」で、源氏のルーツは朝鮮半島の新羅にあると述べたことの裏付けになるようなことが記されています。新羅三郎の郎は
花郎の郎でもあります。花郎のトップを源花、あるいは花主、また国仙と云うそうですから源氏の源という字も花郎軍団からきているのかもしれません。因みに源花の下が花郎、または仙郎があり、その下に郎徒または門徒という位があるということです。日本の武士について一族郎党と言ったりしますが、これは花郎軍団の郎徒からきているようです。







2011年11月22日火曜日

駒王丸と高麗王若光 その2

幼名駒王丸の木曽義仲は源氏でありますが、源氏のルーツについては諸説あり、その一つに藤原氏の護衛、あるいは荘園の用心棒的存在として仕えていたというものがあります。これが地方の有力者と結び付き、徐々に力を蓄えていき、武士という存在になったというものです。
それから、新羅の花郎であったという説があります。
907年に唐が滅亡していますが、唐との貿易で成り立っていた新羅も連鎖的に滅びています。このときに新羅に代わって建国したのが契丹と高麗ですが、高麗軍に追放され日本の関東地方に亡命した新羅人の中に、この花郎も含まれていたようです。このときの高麗は後に述べる若光の高麗(高句麗)とは別の王朝で王氏高麗のことです。

高麗王若光のことは日本書紀と続日本紀に僅かしか記されておらず、日本書紀・天智五年(666年)に「冬十月甲午朔己未、高麗遣臣乙相奄鄒等進調、大使臣乙相奄鄒 副使達相遁 二位玄武若光等」とあり、続日本紀巻三の文武三年(699年)に「乙未 從五位下高麗若光賜王姓」とあるのみです。このなかの「王」という字には一般的に「こきし」という朝鮮語の訓が付けられています。
続日本紀には他に高麗人についての記述があり、霊亀二年(716年)に「以駿河(静岡県)、甲斐(山梨県)、相摸(さがみ・神奈川県)、上総(かずさ・千葉県中部)、下総(しもうさ・主に千葉県北部、茨城県南西部)、常陸(ひたち・茨城県北東部)、下野(しもつけ・主に栃木県)七国高麗人千七百九十九人、遷于武藏國、始置高麗郡焉」とあります。
このことから、668年に滅んだ高句麗(高麗)から多くの亡命者が日本列島に入ってきたことが窺われます。先に紹介したように、若光には從五位下の位と王(こきし)姓が与えられています。これが高麗王若光という名の起こりのようです。
参考までに、王氏高麗(918年~1932)に対し、若光がいたときの高句麗(紀元前37~紀元668)は6世紀頃から高麗を正式な国号にしていたということです。尚、若光のときの最後の王は宝蔵王とされています。










2011年11月19日土曜日

駒王丸と高麗王若光 その1

次に製作の予定である平家琵琶の撥面には、
木曽義仲に因んだ絵を描くことにしています、それで、いま木曽義仲のことをちょっと調べています。
琵琶を依頼して下さった方から、義仲の幼名は駒王丸(こまおうまる)であるということを教えてもらっていたので、どうしてそのような幼名が付けられたのかも知りたいと思い、調べ始めたのですが、手立てがほとんどないのです。
そういうことなので、こまおうまる コマオウマル・・・と
念仏のようにブツブツ云いながら本棚を眺めていたら、以前、滋賀県にある渡来人歴史館で買っていた高麗王若光(こまおう じゃっこう)に関するDVDが目に入ったのです。コマオウ! 近い! もうちょっとでコマオウマルではないか・・・ということで、早速そのDVDを見直したのですが、最初に高麗、許麻、巨摩、狛、駒、という字が紹介されているのです・・
どれもコマと発音します。このコマという発音に様々な当て字が付けられているのですが、漢字の意味はそれほど重要ではなく、コマという発音が重要なのは想像がつきます。
許麻、巨摩は地名によく見られます。狛は神社の狛犬のコマですね・・
そして駒は「ヒョウタンからコマ」の駒で馬のことです。







2011年11月17日木曜日

「楠美甚之助勤務控え」

平家詞曲相伝者である鈴木まどかさんが
共著で「弘前城手廻組藩士の日常と世相」
副題 「楠美甚之助勤務控え」を出されました
楠美甚之助はまどかさんの御先祖でもあります
出版社 大河書房

歴史は鑑と言われますが
そのことを痛感させられる1冊です
300年前のことが昨日のことのように蘇ります


2011年11月14日月曜日

もう1台の新作ラプレヴォット・タイプ


今回出来上がった
もう1台を紹介しておきます



全体に淡いクリーム色に着色してほしい
という要望がありましたので
このように仕上げてみました





 
ポジション・マークは白蝶貝






糸巻きは特注ロジャースです


ブリッジ・ピンにはアバロンを入れています
実際はもっと濃い緑色です


2011年11月12日土曜日

霧島銘の鉋

霧島という銘の一枚刃寸三鉋(身幅55mm)を手に入れました


島という字が消えかかっていますが
霧島という銘は間違いないでしょう
その上に右から保険という刻印があり
上段中央に丸十字の紋が入れられています
丸十字は薩摩藩の家紋でもあるのですが
鹿児島県で打たれた鉋身でしょうか・・
裏の透きが不均一ですが
島の字の下半分が消えているので
後に透き変えられたのかもしれません

鋼は炭素鋼で、研ぎやすく
絶妙の焼きが入っている感じです


仕事で様々な硬さの木を削ってみましたが
甘い焼きの鋼なのに驚くほど永切れします

このように刃先が摩耗しても
切れは止んでいません

正清銘の鉋と並べてみると


頭の形状が違うくらいで
身の厚み、鋼の質などよく似ています

霧島といえば鹿児島県ですが
正清という銘は日本刀にもあり
薩摩(鹿児島県)刀工の主水正(もんどのしょう)正清
という有名刀工が思い浮かびます
この鉋とは関係はないと思いますが
この鉋身を鍛えた鍛冶職人が
薩摩に縁がある人だったとすれば
主水正正清のことに思いをよせて
銘を付けたということは想像できます

その後二枚刃に仕立て直しました

2011年11月11日金曜日

おそるべし 自然のデザイナー

庭先の地面にポロリと落ちていた
小さな虫の死骸・・
体長約7mm、ゴミと見間違えるほど・・





 ところが、よくよく見ると
翅の表面に美しい模様が・・


なんともオシャレではありませんか・・




腹側も美しい瑠璃色です
いったい何のために、誰のために
このように美しくする必要があるのか・・


2011年10月30日日曜日

楽器の旅立ち


出来上がったラプレヴォット・タイプ二台のうち
1台が旅立っていきました










次に製作しているのは特注モダン・タイプと
鈴木音律フレッティングの
ラプレヴォット・タイプ 






2011年10月28日金曜日

自作のポルトガルギターと久しぶりの再会

20年ほど前に作ったポルトガル・ギターが
メンテナンスのため持ち込まれました
久々の面会です・・懐かしい・・
フレッティングはヴァロッティ音律



サウンド・ホールの縁飾りは
アワビ貝と象牙、そしてハカランダで
螺旋状のリボンを表現したものです
平面で立体感を出すのは
難しいのですが、これはいかに・・・


2011年10月27日木曜日

プトゥムジュ材


製作中のBoxハープのブリッジ材になるような
木を探していたら、プトゥムジュという
初めて耳にする名前の木材が目に入りました
カチカチっとしてそれほど重くないもの・・
という希望に適っています
色あいがもう少し濃いものがいいのですが
色付けすればいいかも・・

ここ数年、世界各地から様々な木材が
日本に入ってきているようですが
先般試作したラコート・タイプ
木材を扱っている業者さんが
名前が分からないということでしたので
多種・多様の木材が輸入されているのだと思います



一見、黒檀のように硬く見えますが
加工は容易で、刃物が痛むこともありません
使っている鉋は以前紹介した中惣寸六です 


2011年10月26日水曜日

義康鉋



古い寸八鉋を手に入れました
銘は「義康」

裏を透きなおし

研いでみたら、なかなかの研ぎ上がりです
これまでにかなり使われていて
身が2cm以上は短くなっています
鋼は安来鋼の青紙と思われますが
古い青紙のようで
以前紹介した優れた青紙鋼の鉋に似ています





早速仕事で使ってみました
削っているのはブラック・ウォルナット


粘りのある材質ですが
切れは軽く、逆目も止めることができました





台は古いものを補修して
そのまま使いました
これで十分使えます
古い台は狂いが少ないので使い易いのです