2014年7月16日水曜日

義廣銘鉋を入手 削り比べ

新潟与板の刃物鍛冶職人である
中野武夫(武則)氏が義廣銘の鉋を鍛えておられる
ということを知った
以前手に入れた義廣銘・寸四が
特殊鋼が使われているということに
引っ掛かっていたのだが
中野氏の義廣銘には安来鋼・青紙が使われている
ということなので、もしかして手許の寸四・義廣は
中野氏一族のどなたかが鍛えたものではないかと
思った次第であります・・

後日、義廣銘寸四は新潟与板の
小熊寅三郎氏が鍛えたものということが判明しました

ということなので中野氏の義廣鉋(身幅48mmの小鉋)を
手に入れてみました


青紙付と刻印されています

こちらは以前手に入れていた特殊鋼の義廣銘・寸四
銘の刻印と紋は上の中野氏のものとは違いますが
刻印などはどうにでもなるものなので
あまり問題ではないでしょう・・

中野氏の義廣小鉋を研ぎ上げてみました

鋼の研ぎ感はそれほど強靭さはありませんが
程よい感じの粘りを感じました
裏出しも容易に出来たのでそれほどガチガチの
焼入れではないのでしょう
地鉄も美しいもので心地よく研ぐことが出来ました

せっかくなので、義廣・寸四と
特殊鋼の古い初弘(おそらく二代目)で
削り比べをやってみました


左から、中野氏作・義廣、義廣・寸四、初弘・寸六


中野氏作・義廣(身幅48mmの小鉋)
粘りが強く深い杢のMapleメープル材を削ると
鋼の違いがよく分かるのですが
この鉋は青紙鋼らしく、やや重い切れで
削る音が鈍い感じが動画でも分かります

動画撮影後の刃先の状態
これくらいの削りでは刃先はほとんど変化はありません
刃角度は約28度

これは義廣・寸六(特殊鋼)
削った台の大きさや刃の幅が違うので
比較は難しいところですが、手応えや削る音は
上の中野氏作・義廣と同様のものがあります

動画撮影後の刃先の状態
こちらもほとんど変化はありません
この鉋はこれまで他の鉋と何度か削り比べをやっていますが
刃先はかなり強靭で永切れします
刃角度は約28度

これは古い初弘鉋(参照下さい
鋼は昔の青紙と思われます
上の2丁と比べると削りはかなり軽く
削った音もかなり違います

これも刃先はほとんど変化はありません

動画撮影後
製作中の楽器の部材をいろいろと削りました



その後の刃先の状態
これは中野氏作・義廣小鉋
やや刃先が磨耗しています

義廣・寸四
これもほぼ同様の磨耗の仕方です

初弘・寸六
こちらも上の2丁と同様の感じです

その後、中野氏作・小鉋と義廣・寸六を
ほぼ同様の刃の出し方と削り量で
仕事で使ってみました

かなりの量を削りました

その後の刃先の状態
中野氏作・小鉋はかなり刃先が磨耗していますが
まだ切れは止んでいません

こちらは義廣・寸六
上の小鉋に比べるとやや磨耗は少ない感じですが
ほぼ同様の磨耗の仕方が確認できます
こちらもまだ切れは止んでいません

こうしてみると、中野武夫(武則)氏の鉋は
かなり優秀だと言えます
氏は問屋銘の鉋を多く鍛えられているようですが
氏が佐野勝二氏の後を継いで「兵部ひょうぶ」銘の
鉋を鍛えたりしているのは
この優秀さ故からかも、と想像されます
ですから、この特殊鋼の義廣・寸四も
中野一族のどなたかが鍛えた可能性もあるのかもしれません・・

後日、義廣銘寸四は新潟与板の
小熊寅三郎氏が鍛えたものということが判明しました

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