2011年7月2日土曜日

粉末ハイス鉋を人造中名倉で試し研ぎ


いま、人造中名倉「京東山」#2000を
いろいろと試しているのですが
この粉末ハイス鉋寸八は
鎬幅が3mmほどしかなく
すべて鋼部分なので
この部分を人造中名倉で研いでみました

研いでみてビックリ
鏡面に仕上がっているではないですか・・
ハイス鋼がこのように鏡面になるということは
天然砥石ではあり得ません


ちょっと拡大してみました
肉眼では見えなかった傷が見えてきました


さらに拡大してみました
傷が刃先まで達しているようです


 さらに拡大
やはり荒めの傷が刃先まで及んでいます


 それでは、と、先日紹介した
刃先だけを研いでみました
肉眼で見ると、かなり荒めに
曇っているように見えますが・・




 拡大してみると
大きな傷は確認できません


2011年6月30日木曜日

初代・金井芳蔵銘の寸八鉋


初代・金井の寸八鉋を手に入れました


この画像の刃は研ぎ上げた状態です

鉋身の鎬幅を狭くし

裏押しを済ませ
これから研いでいきます
動画をUPしました

 これは中研ぎで、シャプトン社の
「刃の黒幕」1000番で研いだ痕

 同じく「刃の黒幕」1500番の研ぎ痕

中研ぎの最後
人造中名倉「京東山」2000番の研ぎ痕
やや針気がありますが
鋼には及んでいません

そして仕上研ぎに使った
京都梅ケ畑、中世中山間府の
天井巣板で仕上げた状態
この鉋は研ぎやすく
独特の粘りを感じます

 天井巣板で鋼が鏡面近くまで仕上がる
というのには驚きます
しかも短時間でここまで
研ぎ上がるのです
これにはたいへん助かります

この鉋を使ったメープル材削りの
動画をUPしました

1977年製スウェーデン鋼の
鉋と削り比べもUPしております

動画で削った後の
初代・金井鉋の刃先の状態
鋼は昔の安来鋼・青紙らしい
まだまだ切れます

こちらは同じくスウェーデン鋼の鉋
こちらもまだまだ刃先は大丈夫です

初代・金井とスウェーデン鋼の鉋は
削った感触はかなり違った印象を受けます
どちらも軽い切れなのですが
初代・金井には粘りを
スウェーデン鋼には鋭さを感じます

2011年6月29日水曜日

究極の仕上砥か・・? 中世中山天井巣板


1週間ほど前に手に入れた
中世中山仕上砥の
天井巣板をいろいろと試しているのですが
これは私にとって、探し求めていた
究極の仕上砥と言えそうなのです・・

ちょっと当たる長い筋もあり
見かけはあまり良くありませんが
これが優れものなのです
やや硬めという感じで良く反応し
中世中山独特のザクザクとした研ぎ感の中に
まろやかな感じもあり、心地よく研ぐことができます
研ぎ汁が全く邪魔にならず、砥面の
当たり具合を感じながら研ぐことができる
私好みの仕上砥です




これは25日に紹介した
優れたスウェーデン鋼の鉋身ですが
人造中名倉#2000の後に研いだものです
ザクザクとした粗い研ぎ感なので
強い研磨力がありますが
鋼は鏡面近くまで仕上がっているのです
これは天井巣板には有り得ない研ぎ上がりです
さざれ銘砥の中岡さんが言われているように
中世中山砥の研磨粒子は別次元ですね
これには大変助かります・・





これも25日に紹介した
メープル材の荒削りに使っている
「も作」銘の寸五鉋です
鋼は安来鋼の白紙系と思われますが
この鋼も人造中名倉#2000の研ぎ傷を
あっという間に消すことができました





そしてこれは今日手に入れた
「中惣」銘の寸五鉋ですが
これもスウェーデン鋼と思われますが
この鉋も研いでみました
研ぎ上がりは上の2丁と同様でした
下の画像の刃は摩耗した状態です


ソフト・メープルの荒削りに使ってみましたが
これも軽い切れ味です


やや刃先の摩耗が早い感がありますが
ここまで刃先が白くなっていても
まだまだ切れるのです


2011年6月25日土曜日

スウェーデン鋼とメープル材


今日は仕事の大半を
メープル薄板削りに費やしました

途中、注文していた鉋身が届いたので


自分の道具として仕立て直し
台に仕込み、さっそく使ってみました

使った砥石は
中研ぎ:シャプトン「刃の黒幕」#1000、
そして#1500、次に岐阜産小鳥おどり
仕上研ぎは、中継ぎとして中世中山砥・戸前(粗め)
最後に同じく硬めの中世中山砥・並砥

この鉋身は伊予(愛媛県)の刃物職人
白鷹幸伯氏秘蔵のスウェーデン鋼(参照)を用い
播州(兵庫県)三木の常三郎鉋工房で
打たれたものだということです
スウェーデン鋼についてはこちらを参照ください

今日削ったメープルはソフト・メープルですが
それでもメープル独特の粘りは
鉋の切れ味を試すにはいい試料となります
普段はメープルを削る鉋は炭素鋼系のものを
使いますが、安来鋼の青紙や東郷鋼は
どうしても切れが重く、使う気になれないのです
そういうことなので、この炭素鋼系の
スウエーデン鋼のなかでも優れていると云われる
1977年製の鋼を名工常三郎氏が
どのようにまとめ上げていられるのか
興味津津でありました・・

軽い切れで、切れに独特の鋭さを感じます
この感覚は初めてです
これは刃を多めに出していますが
それを感じさせません
驚きます・・(動画をUPしました)


鉋身を研いだ際に、独特の粘りを感じましたが
削り肌も、粘りのある艶に仕上がっています

普段、メープルに使っている鉋だったら
刃先がかなり摩耗していると思われる
ところまで削ってみても、まだ刃先は健全です
刃角度は26,5度

 鉋を持ち換えて
二代目・金井鉋(鋼は安来鋼の青紙)
使ってみました
やはりメープルを削ると
青紙独特の重い切れです

常三郎ほど削っていないにもかかわらず
刃先は早くも摩耗して白くなっています
刃角度は28度 

これは東郷鋼
先日のホンジュラス・ローズウッドには
よい結果を出しましたが
これもやはりメープルを削ると重いですね
刃角度は26度

 初代・金井を試してみました
これは一枚刃の影響か、刃角度(23,5度)
影響か、軽い切れ味です

これはこれまでメープルの荒削りに
長年使ってきた「も作」銘の寸五(削り幅45mm)

鋼は炭素鋼の安来鋼白紙系と思われますが
軽い切れ味で、しかも永切れします
これにはたいへん助けられてきました

2011年6月24日金曜日

出口王仁三郎の気になる発言 水鉛 モリブデン

以前紹介した、今昔物語の毘沙門天に因んだ話(参照 参照)に関することを、ちょっと調べているのですが、そうすると、3月15日に述べた福岡県春日市の弥生時代の遺跡と兵庫県芦屋市の会下山遺跡に繋がっていき、またそれは芋蔓式に、これも以前のブログで述べた古代の製鉄に繋がっていくのです。そういうことなので、もう一度六甲山系の古代と、そこから西に繋がる印南山系の古代を洗い直しているのですが、そうすると、どうしてもさらに西の備前や吉備(岡山県)にも目を向けざるを得ないのです・・
そういうことなので、新たに手に入れた資料を含め、いろいろと目を通しているのですが、おや?と思うことがあったのです・・それは岡山県赤磐市にある熊山の石組遺跡に関する資料なのですが、興味深いことに、それは昭和の初めの大本教の研修用資料として発刊されているのです。大本教はここ丹波の地、とくに綾部市と亀岡市が因縁が深いのですが、他にも昨年5月に続けてこのブログで述べた九鬼家とも少なからぬ因縁があるのです。
このことは今回は深く追及はしませんが、大本の二代目教祖である出口王仁三郎でぐちおにさぶろうはスサノオのことをかなり意識していたようで、昭和5年には有志と連れだって熊山に登り、謎の石組を検分し、結果、石組はスサノオの陵墓であると結論付けているのです。
そして、それに因んで資料には王仁三郎の「天目一神と長船おさふね」という文が載せられているのですが、それを紹介しておこうと思うのです。
以下・・

「日本刀が世界に冠絶するゆえんは、モリブデン(水鉛すいえん)を混入して鍛える秘法をはやくから知っておったからである。明治時代中頃からドイツあたりでこの秘密を発見して、精巧なる軍器を造りだしているが、日本においても秘密中の秘密として、深山に入って造ったので、天狗に教わったなどと称し、決して他人に教えなかったものである。鉄も雲(出雲いづも・島根県)、因(因幡いなば・鳥取県東部)、伯(伯耆ほうき・鳥取県西部)の三国に限られたもので、このほかから出たものでは、たとえモリブデンを混入しても、そう立派なものは出来ない。この鉄(雲・因・伯 三国の鉄)があり、水鉛(モリブデン)があるので細矛千足くわしほこちたるの国の名に背そむかぬ逸品が出来たのである。素尊斬蛇すそんざんじゃ(素尊命による八岐大蛇・やまたのおろち退治)十握とつかの剱つるぎは長船おさふね(岡山県の刀の産地)ではないかと聞くが、それは違う。前言うとおり、雲、因、伯三国のうちに産する鉄でなければならないのだから、これは長船で鍛えられたものではない。」

鉄(鋼はがね)にモリブデンを加えるということは
今で言う特殊鋼ということになります


この神社は上の文とは関係がありませんが
先日訪れた丹波市山南町谷川にある
熊野神社


そして謎の神社(地図参照
この神社は立ち入り禁止になっていて
金網が廻らされており
神社名を確認できませんでした
鳥居の字も風化して判読できず・・
赤い鳥居なので、海人(あま)産鉄系神社ではあります