2012年2月28日火曜日

中世中山仕上砥おそるべし

注文していた中世中山仕上砥が、さゞれ銘砥(330mate)から届きました。期待どおりの銘砥でありました。
数年前、木工家の徳永さんのところで、徳永さんの師である竹内碧外が使っていた仕上砥を見せてもらい、研がせてもらったのですが、その砥石に魅せられ、同じようなものがないものかと探していたのです。
ザクザクとした研ぎ応えにもかかわらず、仕上がりが
緻密で、1本の仕上砥で中継ぎと最終仕上げを兼ね備えているもの・・
この夢のような仕上砥は、「さゞれ銘砥」の中岡氏が掘っている中世中山砥にあるに違いないと確信。機会があるごとに1本、また1本と手に入れていたのです。
ほぼ近いものには数本出合いましたが、まだ何かちょっと違うという感が拭えないでいたのです。
そして念願叶い私にとっての理想の仕上砥に出会うことができたのです。中岡氏に感謝、感謝です。 


これは先般手に入れた
佐野勝二作・昭豊銘の寸八鉋
研ぎ面は一分研ぎ(幅3mmほどの研ぎ面)ですが

このように良く反応し
強い研磨力があります
そして鋼(はがね)は鏡面近くまで仕上がるのです
鋼は安来鋼・青紙と思われます




そしてこれは炭素鋼の石社(いしこそ)・寸八
研ぎ面は二分(約6mm)研ぎ




そして研ぎ面三分(約9mm)研ぎの
千代正鉋・寸八



どちらもこのような感じで反応します

平家琵琶の撥・バチを切り抜く


製作中の平家琵琶の撥を切り抜きました
動画UPしました
素材のツゲ材を削っているところは
昨日紹介しました




2012年2月27日月曜日

青紙鋼鉋三丁の削り比べ


製作中の平家琵琶の腹板(表板)の
厚みを仕上げ、目(半月)と陰月を
開けようと思いましたが
陰月を開けるには撥(バチ)が必要
ということに気付き、予定変更
まず、寝かせていた撥用のツゲ材を
荒削りしました
これはいい機会だから
先日手に入れた初代・佐野勝二作
昭豊銘の鉋と同じような鋼(古い安来鋼・青紙)
打たれた初代・金井鉋と二代・永弘鉋
三丁で削り比べをやってみました


まず使ったのは昭豊・寸八
この画像は、かなり削った後の状態で
切れはやや重くなっています


刃先はかなり摩耗していますが
削り肌は気になるほど荒れていません
画像の板の下にある節が
他にも3ヶ所あるのですが
これを削っても刃先は変化はありません
強靭な刃で、しかも永切れします


画像向かって右側が節を削った箇所ですが
この部分に目立った変化はなく
全体に同じように摩耗しています


次に使ったのは二代・永弘の寸八
この画像も昭豊と同様の使い方をした状態です
昭豊と同様切れはやや重くなっています


節で刃先が欠けたようで
削り肌に筋が付いています


刃の向かって右側の
節を削ったところが顕著に摩耗しています
昭豊よりは強靭さが足りない感じです


そして最後に初代・金井の寸八を使いました
節を削ったら、刃先がすぐに毀れましたが
刃先が摩耗しても切れは軽いです


節でやられた刃先で
目立った筋が付きました


節を削ったところが、ひどくやられています

以上、削り比べをやってみましたが
刃先の強靭さは昭豊が優れており
切れの軽さは初代・金井が突出しています


平家琵琶の腹板の厚みを仕上げる

製作中の平家琵琶の腹板(響板)
厚みを仕上げました(動画参照
最終的には板の厚みは縁8mm強
内部は厚いところで約14mm
動画では確認のためカリパーで
厚みを計っていますが
この厚みはあくまでも結果であって
何ミリの厚みにしようとして出した
ものではありません
ここのところが楽器作りでは重要になってきます
八音抄参照ください


この後、目(半月)と陰月(サウンドホール)を開けます

ヴァイオリンなど西洋の楽器は
この後削り肌を滑らかに仕上げますが
この琵琶はこのままで仕上がりとします
以前修復したことのある500年ほど前の
平家琵琶もこのように仕上げられていました



2012年2月26日日曜日

平家琵琶、遠山を刻む

製作中の平家琵琶
今日は甲板(裏板)
膨らみを仕上げ
腹板(表板)の内側を
荒削りしました

これは甲板の遠山の
線を切っているところ

遠山を削り出す

甲の出来上がり


こちらは腹板の内側
動画UPしました)

これはまだ荒彫り
明日仕上げます