2013年1月10日木曜日
2013年1月9日水曜日
2013年1月6日日曜日
会津刃物 重明銘の鉋身を入手
江戸時代から刃物産地として名が知られていた会津
その地で打たれたと思われる重明銘の寸六鉋身を手に入れました
あまりよい状態ではありませんが
何とか使えるようにはなりそうです
かなり使い込まれていて鋼(はがね)部分は
あと3cmほどしか残っていません
重明銘は重房銘の分家筋の流れで
初代重房は江戸時代末の刀工です
明治維新後、廃刀令が出てからは
刃物鍛冶を専業とし、その傍らで刀も打っていたようですが
重房銘は初代重房の長男と二男が受け継ぎます
その後、互いに本家を主張したため協議が行われ
結果、銘の「重」という字の切り方で違いを付けることにし
「重」の字の縦中央に引かれている線が
里という字に収まっているのが長男・安右衛門一門の字体
里という字から上に抜けているのが二男・猪之吉一門の字体
ということで決着したということです
上に紹介した重時銘の「重」は里の字から上に抜けているので
二男・猪之吉一門の流れということになります
(堤章著「会津の刃物鍛冶」による)
その他手持ちの会津鉋
鋼をグラインダーに当ててみたら
火花はほとんど出ませんでした
ということは鋼材は東郷ハガネでしょうか(参照)・・
2013年1月3日木曜日
優れた産地不明中砥二種で際鉋刃を研ぐ
YouTubeにUPした研ぎ動画の画像を
紹介しておきます
今回研いだものは身幅38mmの際鉋(キワカンナ)
際鉋はギター製作でもあると重宝します
最初に使った砥石は産地不明の中砥
石質は粘板岩のように積層にはなっていません
手持ちの天然中砥と比べてみると
群馬県産の砥沢虎砥にもっとも近い感じがします
参照(内田広顕著「刃物に関する諸材料」から
1970年当時の砥石採掘事情)
左が砥沢虎砥ですが
これは産地がはっきりしているものです(参照)
中央のものも砥沢虎砥と思われるものですが
確かではありません
そして右が今回手に入れたものです
左から右に順に粒度は細かくなっています
粒度は#1500といったところでしょうか
硬めで緻密な石質ですが、よく反応し強い研磨力があります
次に使ったのは、これも産地不明の中砥
これと同じものを以前四国にある石材店から
購入したことがありますが
それよりは良く反応し、これでしたら
中研ぎの最終段階として充分使えます
四国の石材店から手に入れた際に産地を訊ねたら
外国産というところまでは教えてくれましたが
産国は言えないということでした
石材店では青砥の代替品ということで販売されていましたが
これは青砥というよりも対馬砥に近い感じを受けます
側も青砥や仕上砥のような顕著な層は確認できず
頁岩の一種かなという印象を受けます
粒度は#2000以上ある感じです
仕上げ研ぎは中継ぎとして
丸尾山産・天上内曇(天井巣板)を使いました
石質は硬めで、今回研いだような
刃先の直線をきっちりと出すための研ぎには
持ってこいの仕上砥です
硬めにもかかわらず良く反応し強い研磨力があります
地・刃ともに美しく微塵に曇り
地は青く、刃は白く仕上がります
このレベルでしたら刀剣研ぎでの
地鉄(じがね)部分を研ぐ内曇地砥
としても充分使えるのではないでしょうか
最終仕上げとして使ったのは
仕上げ砥石の名門、京都梅ヶ畑・中山産の戸前です
やや硬めの石質ですが
反応良く、心地よく研ぐことができます
時折、こういったことをして自慢している人を見かけますが
これは研ぎのごく基本的なことができていることの
傍証とはなりますが、それ以上の意義は何もありません
私は若い頃、研ぎの師匠から
こんなことを人に自慢するのは恥ずかしいことだから
決してやらないようにと戒めを受けました
当然のことながら、鎬面を少なくした
二分研ぎや三分研ぎではこういうことはできません
さすが中山産の仕上砥
地鉄の模様がくっきりと現れ
鋼はほぼ鏡面に仕上がります
コッパながら文句なしの仕上砥石です
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