山口県岩国産の杭名砥という
仕上砥石を手に入れました
お世話になったのは
地元の刃物工房藤本さん
画像下の左2本は白巣板蓮華
上の2本は戸前・浅黄と
いったところでしょうか
右は赤ピン系で粒度粗めです
裏の様子
側の様子
白巣板蓮華はほとんどが
巣無しなのだそうです
京都の奥ノ門産白巣板や
梅ヶ畑の菖蒲や奥殿産とよく似ていて
紛れてしまうと見分けは
付かないでしょう
これは戸前・浅黄のやや粗い方です
試し研ぎの様子を
YouTube動画にUPしました
左端は中研ぎに使った
京都亀岡産と思われる青砥
やや黄色がかった珍しいものです
その右の6丁は杭名砥で
動画では上の左端から右に
下の左から右にという順で
使っていきました
仕上砥は動画撮影の前に砥ぎ面が
同じ条件になるように
写真に写っている黒名倉で表面を
擦っておきました
中研ぎに使った青砥(粒度約#1000)
やや柔らかめで強い研磨力があります
研ぎ上がりは緻密で、針気もありません
仕上砥ぎに使った赤ピン系の杭名砥
この手のものは採掘されていた当時
人気があったそうです
ザクザクと心地よく研ぐことができます
粒度は粗く、仕上砥というよりも
中砥といった感じです
家庭用の包丁などを砥ぐのに
威力を発揮したものと思われます
次は白巣板蓮華のやや柔らかめのもの
砥いだ感じは梅ヶ畑の奥殿産の
シャリシャリとした手応えと
菖蒲産のような滑らかさを
併せ持ったような感じです
これは東物と言われれば
納得してしまいます
地鉄にやや砥ぎ傷が確認できますが
鋼は光るほどに研ぎ上がっています
これで充分仕事で使えるレベルです
刃先の拡大画像(約100倍)
砥ぎ傷が浅く、刃先はほぼ傷が消えています
このように研ぎ上がるものは梅ヶ畑の中にも
そうは見られないと思います
次は同じ蓮華巣板でやや硬めのもの
真っ黒な砥ぎ汁が出ます
地鉄に所々細かい針気が見られます
刃先の拡大画像(約100倍)
針気は鋼にも及んでいますが
刃先では消えているのでそれほど
深さはないようです
これも文句なく研ぎ上がっています
このレベルで研ぎ上がるのは
東物(梅ヶ畑産)では
菖蒲産の優れたものか、巣板以外では
中山産の優れたものくらいでしょう・・
まったく驚きます
次は硬めの浅黄
硬い割にはよく反応しますが
粒度が粗い手応えを感じます
やはり地鉄にも粗い傷が付いています
鋼の傷は想像していたよりは細かい感じです
最後に、これはかなり硬めの浅黄ですが
反応は鈍いものの
これも研ぎ感に粗さを感じます
研ぎ上がりは一見ピカリと光っているようですが
刃先の拡大画像(約100倍)
拡大してみると
鋼全体に粗めの傷が深く付いています
粒度は細かいのでしょうが微粒の粒が硬く
鋼に深く傷が付いているのかもしれません
そうすると、今回の中では
白巣板蓮華の2丁が研ぎやすく
しかも研ぎ上がりも優れている
ということが言えると思います
私としては仕事で使うには
最初に使った白巣板のやや柔らかめのもの
ということになりそうです
砥いだ鉋は広島の刃物鍛冶
石社いしこそさん作の寸八(炭素鋼系)
後日、手に入れた蓮華巣板