2016年4月14日木曜日

ルネッサンス・ギターの製作 型枠を作り部材を揃える 


注文を受けているルネッサンス・ギター
Renaissance Guitarの
製作に取りかかりました
(図面描きの様子はこちら
型枠に使うベニヤ板は
以前製作した特注ガルシア・タイプ
型枠を作った端材が使えました





接着を終え

型枠出来上がり


これはネックのヒール部になるセドロ材

ヘッドになるメープル材

Maple材の製材は窓鋸が早い(一尺窓鋸)


大まかに表面を仕上げているところ

使った鉋は古い会津鉋


これから2台分のヘッドが取れるが

厚みがギリギリなので
できるだけ挽き幅の狭い縦挽き鋸を使った
古い伏見鋸の谷口清三郎銘

挽き幅は約0.8mm

慎重を期すため、四方から攻める

何とかうまくいきました

これで各部材が揃いました

2016年4月12日火曜日

特注小型モダン・タイプにフレットを打ち込む

製作中の特注小型モダン・タイプ(弦長640mm)の
フレット溝を切っているところ


鋸は長勝鋸さんに目研ぎをお願いした
古い伏見鋸
銘は谷口清三郎



作業中、注文していた糸巻きが届く

こんな感じ・・



これは面白い杢のWalnutウォルナット材

19世紀ギターLaprevotteラプレヴォット・タイプ
裏板が悠々取れる



オマケ

2016年4月11日月曜日

翠砂砥と柿山砥

姫路の御吉兆さんで販売されている
紀州(和歌山県)産の
翠砂砥Suisa-toを手に入れました
翠という字には緑色という
意味もありますが
その字のとおりの緑色がかった砥石です

御吉兆さんのHPでも
説明されているように
細かめの荒砥、荒めの中砥と言った
感じで
粒度は400番程度 


程よい硬さで心地よく研ぐことができます

粒度がよく揃っていて
荒めながら、美しく整然と
研ぎ上がります
文句なしの研ぎ上がりです
研いだ鉋は寸八サイズ

天然砥石の特徴でもありますが
鋼haganeの傷も浅めで
後の中砥ぎが楽に行えます

別の鉋を研いだ際に
動画撮影を行いました(参照下さい

研いだ鉋は古い会津鉋、重高寸六(玉鋼)
動画では、翠砂砥の後に使ったのは
荒めの備水砥、そして細かめの備水砥
仕上砥ぎは最初に奥ノ門産・戸前
最後に、これも御吉兆さんから
お世話になった柿山砥
柿山砥は詳細な産地は
不明ということですが
研いだ感じと研ぎ上がりは
奥ノ門産によく似ています
ということで、動画では柿山砥の前に
奥ノ門産・戸前を使ってみました

どちらにしても、この柿山砥は
石質も研ぎ感も研ぎ上がりも
梅ヶ畑の東物とは思えず
愛宕山から大平山にかけてのもの
あるいは滋賀県の高島産(妙覚山のもので
同様のものを、以前持っていました)
といったところではないでしょうか・・
以前紹介した、関東(茨城県)の
赤沢砥とは
研ぎ感がかなり違うように感じます


左の柿山砥には淡いカラス状の
模様が入っていて
これが柿山砥の特徴とも
されているようですが
こういったカラス状の模様は
どの砥石山にも見られるものなので
ある砥石山で掘られたものが
たまたまこのような層に当り
大量に出回ったということも
考えられます

その後、御吉兆さんから
連絡がありましたので
以下、それを紹介しておきます
「柿山砥について判った事がありますので御報告致します
其方の推察通り10中8割方
柿山と言う山の名前ではなく
柿渋模様から名付けた様です
此方も奥殿・菖蒲・大平で
同じ模様の石を見つけています
柿山砥の名付け元は関東の刃物屋です
昔、南丹市にある卸元から
仕入れた石で其処の卸元が
関東のサイトを見て同じ原石を探し出し
加工した石を此方が仕入れた次第です
只、此方が持っている石は少し特徴があり
薄い緑色系の透明感が有る石で
何処の山なのかは判りませんでした
稀に白巣板で羽衣(はごろも・うい)と
いう石があり、此方はアルカンサスの様な透明感の白い石があるので
同じ層でも違う色の透明感のある石が
出てくるのかも知れません」


丹波もの独特の研ぎ上がりです


この砥汁の出方は
高島産によく見られます
研ぎ感もよく似ています

奥ノ門産・戸前によく似た
研ぎ上がりですが

やや石質が硬めの影響か
地鉄jiganeはやや緻密に
研ぎ上がっています

2016年4月5日火曜日

工房の様子 特注ルネサンス・ギターに取りかかる


製作中の特注小型モダン・タイプ(弦長640mm)
メープル部の塗装に取りかかる
これは木地着色した状態

その後、レモン・セラックを塗った状態

表は無色をセラック・ニスで仕上げていく


ニス塗りの合間に
次に取りかかる特注ルネサンス・ギター
Renaissance Guitarの原寸図を描く

胴体部の形状を
今回は釣鐘型にする
最初の「あたり」は、適当にフリーハンドで描き
それをプラシートに写し取り


それを使い形を描き
気に入らないところを修正していく

一応、出来上がり

その後、ヘッドの頂上を凹ませました

この版画ではフランスの4コースギターとして
紹介されているものですが
当時、フランスは最もギターが盛んだったようなので
各国からギターが集まってきたことは容易に想像できます
フランスのギョーム・モルレイの曲集の
挿絵に掲載されているギターには
スペイン風のものも見られます

釣鐘型というのは
便宜上私が勝手に呼んでいるもので
正式な呼び方ではありませんが
この形状はルネサン時代から19世紀にかけて
ギターによく見られるものです

とりわけイタリアのものは肩からウエスト
にかけての形状に特徴的なものがあり
19世紀ギターでもイタリア製のものによく見られます

これはヴァイオリン製作で有名な
ストラディヴァリが製作したギター
(1688年製のバロック・ギター)
この形状はイタリアの典型的なもの、と言えます
当時の女性のファッションとも共通性があるのでは
と、私は感じています(参照

これはイタリア、トリノの楽器製作家
カルロ・ガダニーニ作のギター(1802年製)
これも典型的なイタリア風の形状

これは1836年製のガダニーニですが
ガダニーニでもガエタノ二世作
形状は明らかにウィーン風です
これはおそらくウィーンのサロンの
寵児でもあったイタリアのギタリスト
ジュリアーニの影響と思われます

これは19世紀の代表的な製作家の一人
ルイ・パノルモ作のギター(1822年製)
パノルモ一族は、当時ロンドンに工房を
構えていましたが、出身はイタリア
ボディの形状は典型的なイタリア風と言えます

サウンドホールの縁飾りも
イタリアの伝統的なものと思われ

バロック時代のストラディヴァリが製作した
ギターにも同様の装飾が施されています