2010年8月9日月曜日

不思議な符合(隼人と錫)その7

これは鹿児島県の上加世田遺跡から出土している
縄文時代後期の玉(ぎょく)類ですが
以前のコメンでト述べたように(参照)、これらの原石は
これまで糸魚川産とされていたものが
地元南九州産のものであることが判明しています


そしてこちらは、古代インダスの遺跡から
出土している装身具です
赤い管玉は紅玉髓製で
長いものは10cm近くありそうです
形状は上加世田遺跡の長いものと
よくにていますが、インダスのものの方が
より洗練された印象を受けます


同じく古代インダスの遺跡から出土したもの


これは手許にあるものですが
緑色のものは中国で作られたもので
時代は詳しく分かっていません
石材はミャンマー産の硬玉(翡翠・ヒスイ)です
右上の光沢のあるものは
比較的新しいものだとされています
下の長いもので長さは約5cm

ただし古代中国の玉の玉製品は
艶が強ければ新しいとはかぎらず
良渚(りょうしょ)文化の玉製品は
古くても艶が強いものが多く
これはその地域の好みがあったようです

赤っぽい樽状のものは

ナイル川沿いの古代遺跡から出土したもので
時代は石器時代(紀元前5000~3000年頃)
とされているものです
石材はローズクォーツで紅玉髄と
成分は同じで石英質のものです

丸いものはサンゴで作られていて
これはごく新しいものです
それらをこちらで適当に組み合わせたものです

7 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

珊瑚を磨いてる友人に聞きました。
研磨に使ってる水ペーパーは何番?
60、250、600だよ。
金属と違い石は意外と荒い仕上げでもかなりの光沢がでるもんですね。
もっとも、特殊仕上げはナイショだと思いますが。
刃物の研磨の時、同じ砥石でも、硬軟、力の入れ具合で、仕上がり方がうんと違うのですから。

           源 信正

楽器製作家 田中清人 さんのコメント...

そうですね、私も様々な石材で勾玉を作りましたが
硬いものほど艶出しは楽です。
刃物の鋼も同じ砥石で研いだ場合、硬いほど光ります。
古代中国では、玉(ぎょく)の加工品を作っていた文化は
良渚(りょうしょ)文化や
http://www.peoplechina.com.cn/zhuanti/2010-02/23/content_248040.htm
紅山(こうさん)文化が
http://homepage2.nifty.com/gallery-asuka/kozan/k0903.html
知られていますが、
玉の仕上げ方にも特徴があります。
良渚文化のものは強い光沢仕上を行うのが特徴で
現代のものかと見間違えるほどです。

楽器製作家 田中清人 さんのコメント...

そうですね、私もいろいろな石材で勾玉を作りましたが
硬いものの方が仕上が楽です。
硬度5~6のラピスラズリやサーペティンなどが
以外と艶の調整が難しいのです。
ギターの部品に使う骨や象牙は、ヤスリ~#150~#320で磨いた後コンパウンドで仕上げています。

みつは さんのコメント...

昔の記事にコメント失礼します。
鋼が硬いほど光るとのお話ですが目から鱗でした。祖父が使っていた際鉋が3000番代程の砥石で鏡面に仕上がって、しかも永切れするのでとても重宝しているのです。荒研ぎ、中研ぎから砥石のかかりが断然良く、仕事で使うのにとても便利なのでそれに近い研ぎ味の鉋をずっとずっと探していましたが、、鋼が柔らかいものとばかり思っていました‥。これからは硬いもの、意識してみます。

楽器製作家 田中清人 さんのコメント...

コメントありがとうございます。
昔の鉋は、やはり現代のものより優れているものが多いですね。
それだけ鉋を使う職人の要求が高かったことと
その要求に応えてくれる優れた刃物鍛冶職人がいたからでしょうね。
古い会津刃物などはその典型的な例だと思います。

砥石のかかりが良いというのは、おそらく地鉄の影響もあると思います。
優れた和鉄や釜地が使われた地鉄の刃物はたいへん砥ぎ易いですね。

みつは さんのコメント...

地鉄のことはまだ勉強中でして、巣が散ってるな〜とか、鍛接線が出てるな〜程度にしかわからないのですが(笑)、件の祖父の鉋はやたらと綺麗に地鉄が曇って、鋼が光る鉋だなぁというのが初めから印象深かったです。これが和鉄というものなのでしょうか‥‥??うーん難しい。。
奥が深いですが楽しみながら修行に励みます(^_^)いつも田中さんの記事で勉強させて頂いています。ありがとうございます。

楽器製作家 田中清人 さんのコメント...

和鉄と一口に言ってもいろいろあるようで、
私も詳しくはありませんが、私が持っている小刀の中には
地鉄にキラキラ光る金粒が全面に入っているものもあります。
これなども研ぎ易く、砥ぎ上がった金粒を眺めると何とも言えない
いい心持になります。これは、ぜったいに和鉄や!
と勝手に思い込んでいます。 笑