2026年3月17日火曜日

正倉院所蔵琵琶の覆手

 

正倉院型五絃琵琶の問い合わせがあったので、
資料を引っぱり出して眺めていて、おや、と思ったこと。
それは五絃琵琶ではなく紫檀木画槽琵琶第二号(南倉101)のことだが、
この琵琶の覆手(ブリッジ)はイチイ材とされているが、
楽器部品の機能として軽い針葉樹のイチイを使う
というのは考えられず、これはどう見てもイチイ材には見えない。
一見オリーブ材である。
正倉院所蔵の他の琵琶は堅く重い紫檀が使われている。
この琵琶だけ異質の材が使われているが、
私がこれまで使ってきた材のなかではオリーブ材が最も近い。
あるいは白檀や桜材の可能性もあるかも。

1967年に発行された「正倉院の楽器」での説明では
楓・カエデの類とされている。


1991年発行の「正倉院宝物にみる楽舞・遊戯具」では
覆手の材質の説明はない。

2019年発行の「紫檀木画槽琵琶」では
イチイと説明されている。

2002年発行の「日本の美術 正倉院宝物の素材」もイチイ。

紫檀木画槽琵琶に掲載されている覆手の写真。
これはどう見てもイチイ材には見えない。
もしイチイであったとしたら、
イチイ材は経年変化により黒褐色に変色するので
1300年ほど経っていれば、もっと黒くなっているはず。
どう見てもオリーブ材に近いものだと思う。

板目交じりのイチイ材(針葉樹)

オリーブ材(広葉樹)

オリーブ材で作った鉋台

桜材の中にもよく似たものがある

これは白檀材、この可能性もありそう

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