2011年5月29日日曜日

思わぬ展開 世阿弥から鉱山

5月26日に奈良の東大寺と近辺の神社を紹介しましたが(参照)、氷室神社の拝殿が舞殿を兼ねているということで、私は世阿弥のことを連想したのです。ところが世阿弥のことは、5月11日に兵庫県三木市にある
天津神社のことを紹介した際にも、頭の片隅をよぎっていたのです。それははっきりとした記憶ではなく、
天津神社が鎮座する播州の古代のことを思っていて、ふと、そういえば世阿弥が書き著した「風姿花伝」に
播州のことが記されていたような気がするという、古い記憶がよみがえったのです。
その時は、それ以上の追及はしませんでしたが、26日に氷室神社で世阿弥のことを思ったので、家に戻って
さっそく風姿花伝をめくったのですが・・
ありました、ありました。
第四の神儀云の条(参照)で、「かの河勝、欽明・敏達・用明・崇峻・推古・上宮太子につかへたてまつる。この芸をば子孫に伝へて、化人跡を止めぬによりて、摂津国浪速の浦より、うつぼ船に乗りて、風にまかせて西海に出づ。播磨の国坂越の浦に着く」云々・・
「かの河勝」というのは神儀云の最初に記されている
秦河勝(はたのかわかつ)のことですが、ここで記されている河勝の出生や最期の様子は尋常ではありませんね。
このことにも興味があるのですが、ひとまず置いておき、話を進めようと思います。秦河勝の本拠地は京都の太秦(うずまさ)とされていますが、太秦の近くには松尾大社があり、そこは秦氏の信仰の対象でもありました。元々は岩座(いわくら)信仰だったことから、古代に近辺で金属精錬が行われていた可能性は大です。以前述べたことがあるように(参照)、秦氏は摂津国の多田鉱山近辺に移住しているとされているのです。

双竜透かしの古代中国貨幣
直径6.3cm

2011年5月27日金曜日

蓮の花と蓮根


製作中の特注ト-レス・タイプの
ヘッドには蓮の花をインレイしましたが



ブリッジは蓮根・レンコンをイメージして作りました



2011年5月26日木曜日

思わぬ展開 東大寺


24日、奈良国立博物館で開催されている
「誕生 中国文明」展に足を運びました
奈良はここから車で約2時間
数年ぶりに訪れました
博物館では然したる収穫はなかったのですが
天気もよかったので近辺を散策しました

東大寺も歩いてすぐなので
30数年ぶりに足を伸ばしました
ご覧のように龍のような雲が
出迎えてくれていました・・
前回訪れたときは昭和大修理の真っ最中で
殺伐とした雰囲気でしたが
今回訪れて、南大門や大仏殿の
スケールの大きさに改めて感動しました


大仏殿の連子格子から伺った大仏様


せっかくだから
東大寺の脇を固める神社にも
挨拶に伺いました
ここは手向山八幡宮


古代から天皇は宇佐八幡宮を
特別の存在としていたようですが
手向山八幡宮の由緒からもそのことが伺えます


この鳩の社紋は以前紹介したことがありますが
ここ丹波篠山にも同じ紋の神社があるのです


軒瓦は三つ巴紋ですね・・
前回紹介した、兵庫県三木市の天津神社
社紋も三つ巴でした


手向山神社の北隣には
上院の二月堂があります




ここの紋も三つ巴ですね・・


二月堂から望む大仏殿


ここは東大寺の南西
奈良国立博物館の北西隣りに
鎮座する氷室(ひむろ)神社



この神社は祭礼の際に舞楽祭が
奉納されるということで
このように拝殿は舞殿を兼ねています


ここも軒瓦は三つ巴です
赤い鳥居の神社ですからね・・


 さて、国立博物館での収穫の一つに
これがありました
巴紋が見られます
これは河南省鹿邑県から出土している
紀元前10世紀頃の玉器です
高さ約10cm

2011年5月20日金曜日

昔の電動研ぎ機で使われていた仕上砥


HPで紹介している、昔の電動研ぎ機で
使われていた仕上砥(参照)の
試し研ぎの動画が見たいというリクエストが
ありましたのでYou TubeにUPしました
以下その画像を紹介しておきます


これは最初に使っている青砥ですが
おそらく丹波亀岡産のものだと思うのですが
これまで数多くの青砥を使ったり
見たりしてきましたが
このようなものには初めてお目にかかりました
質感はベルギーあたりで産する中砥に
似ている感もあります

今でもDIYショップなどで売られているのを
目にしますが、小振りながら
たいへん優れているのです



やや硬めですが良く反応し
心地よく研ぐことができます
青砥は砥泥が邪魔になって
研ぎ難いものが多いのですが
これはまったく邪魔になりません
また、よく反応している割には
砥石の減りが少ないのには驚きます
これも青砥らしくありません 

 粗めの石質で、やや粒度にムラがありますが
鋼にはそれほど及んでいないので
ほとんど問題ありません





これは近所の人が、軒下にあったから
と持ってきてくれたものですが
これも不思議な砥石なのです・・
青砥だとは思うのですが
このような青砥も初めてお目にかかりました
丹波亀岡産のものには
このようなものは無いような気がします
たいへん硬く、面出しをするのに苦労しました


 ひじょうに硬い割には反応は良く
これも心地よく研ぐことができます

先の青砥よりは緻密に仕上がり
中砥の最終段階といった感じです






そして仕上研ぎにかかりますが
これは昔の職人さんによって
使い込まれたもので
厚みは1cmほどしかありません

ほど良い硬さで研ぎ心地は言うことなし
粗い研ぎ心地ですが、仕上がりは緻密で
中山産の優れた砥石を思わせるような仕上砥です 


あっという間に中砥の傷が消え
これで充分仕上がっています






さて、これが昔の電動研ぎ機に
使われていた仕上砥です

ひじょうに硬いにもかかわらず良く反応します
刃物への喰い付きが強烈なので
研ぎのストロークはごく短くし
引く際にも力を入れる割合を多くしています


ご覧のように地鉄(じがね)の肌が
くっきりと現れ、鋼(はがね)
ピカピカの鏡面に仕上がります
鉋身は三代目千代鶴・落合宇一作の
三水銘の寸八です
切れ味の素晴らしさと永切れには
他の追従を許さないものがあります


2011年5月15日日曜日

夜光貝でハスの花


製作中の特注トーレス・タイプの
ヘッドに入れる蓮の花が出来上がりました



耀貝は光の当たる角度により
様々に変化します


注文を頂いた方の意向で
大賀ハス(古代ハス)にしてほしい
ということでしたので
送られてきたデザインを元に
いろいろと思案しましたが
素材は夜光貝を使うことにしました

当初はアワビ貝を使うつもりでしたが
アワビ貝では花びら1枚でも
平面を取るのが困難なのです

夜光貝は、日本では古来から螺鈿の
素材として使われていましたし
何よりしっとりとした質感は
蓮の花に適していると思われるのです


このようにヘッドに埋め込みます



出来上がりました