2014年8月12日火曜日

柾目で使う青砥を板目で活用 適材適所・・

昔の職人さんが使っていた青砥(中砥)を入手
おそらく茨城県産の助川砥と思われます
一般的に、青砥は柾目使い(仕上砥は板目使い)ですが
これは板目で使われています
かなり硬い石質ですが、研ぎ減って
中央部が凹んでいます
板目使いされていたのが意図的かどうかは
分かりませんが
柾目面の厚みもあまりないので
このまま使ってみることにしました


これまで使われてきた
凹んだ面を平にするのは大変なので
このように反対面を研ぎ面にし
木の台に接着しました


両側の様子


新たな研ぎ面の様子
筋は当たりません
かなり硬いので研ぎ汁はあまり出ませんが
研ぎ応えはかなりあります


中研ぎの最終段階として充分使えます
丹波産の硬口の青砥に見られる針気はほとんどなく
粒度はよく揃っています
以前、京都の和束産青砥を紹介した際に少し述べましたが
青砥の柾目面は研磨力はありますが
その分研ぎ傷が深く、針気も出やすい感じです
それに比べ板目面は柾目面に比べると滑らかな研ぎ感で
使い方によっては、それなりの効果を得ることができそうです



研いだ鉋身は新潟与板の舟弘鉋「天慶」銘(青紙鋼)
身幅4.3cmの小鉋です


その後の仕上砥ぎの様子
まず山口県産杭名砥の蓮華巣板を当てましたが


1分も研がないうちに鋼の傷がほぼ消えました






そして中山産の黄板で最終仕上げ




これも1分も研いでいません
中研ぎから含めて5分ほどで研ぎ終えることができました
これには大変助かります


小鉋で三分研ぎ(研ぎ面の幅が約9mm)の
影響もあると思いますが
中研ぎで研ぎ傷を細かくしていると
仕上砥ぎが大変楽に行えます




中研ぎに使った天然砥石
右から粗めの沼田・虎砥(粒度約#400)
中央は次に使った浄教寺砥(粒度約#600)
左は今回手に入れた青砥(粒度約#1500)




以上の砥石を使って
これらの小鉋3枚を研ぎ上げるのに15分ほどで済みました




2014年8月10日日曜日

特注19世紀ギター Laprevotteタイプ ネック・ヘッドの加工と接着

製作中の特注ギター
19世紀ギターラプレヴォット・タイプ
弦長625mm Suzuki音律
ネックのヒール部分(Maple材)を切り出しているところ


谷口清三郎銘のガガリ鋸(参照








ネックにMapleのVennerをニカワ焼付け接着した状態












仮収めの状態


この後ニカワ接着


ネックとボディの接着準備完了
作業の様子は
以前UPしたYouTube動画参照下さい


仮収めの状態




作業を助けてくれた道具たち
感謝




ニカワ接着完了


台風一過・・・

台風11号さん サヨナラ
幸いこちらは被害はありませんでした


近所の畑の黒大豆も大丈夫な様子・・


工房脇に自生しているユリ
強い風にも耐えていました
大したもんだ・・



今日の作業



2014年8月7日木曜日

ありがとう 有難い 忝い 辱い

「ありがとう」とはいつ頃から言われているのか
ちょっと気になったので
手許の古文をちょっと調べてみました
古語辞典では「有難し」は本来は「めったにない」
「まれである」という意味だが近世(江戸時代以降?)
「ありがたい」という感謝の念を表すようになったと
説明されています
ということは江戸時代までは感謝の念を表す言葉は
「忝いかたじけない」「辱いかたじけない
ということになりますが・・・
まず平安時代中頃とされる源氏物語から
「かたじけなく」


同じく源氏物語から「かたじけなうのう


同じく「かたじけなき」
これらの登場人物の科白せりふを見ると
どれもへりくだった言い方ですね


次は時代がかなり下って松尾芭蕉の手紙から
「忝くかたじけなく
延宝九年は1681年、江戸時代初期


同じく松尾芭蕉の手紙から
「辱くかたじけなく
天和二年は1682年、江戸時代初期


これは柳沢吉保の日記(楽只堂年録
元禄十年(1697年)十一月




元禄十二年(1699年)五月の日記では
「かたじけない」と「有りがたい」の両方が使われています
この頃はその時の気分で使い分けていたのでしょうか・・


これは江戸時代初期~中期
井原西鶴の「世間胸算用」から「有がたき」
刊行されたのは元禄五年(1692年)、舞台は大阪


これは江戸時代後期、文化五年(1808年)に江戸で発行された
版本(読本)「由里稚野居鷹ゆりわか のずえのたか」(参照
から「有がたさ」


これは明治時代
夏目漱石の小説「行人」から「有難うありがとう


幸田露伴の「五重塔」から「有難うござりまする」
昭和2年(1927年)初版発行

広辞苑では「ありがとう(有り難う)」 は
アリガタクの音便、下の「ございます」 「存じます」の略された形
感謝の意をあらわす挨拶語 と説明されています

ということは、露伴の「有難うござりまする」は
本来の使い方となり、漱石の使い方は
いかにも漱石らしい口語体と言えますか・・