昭和29年(1954年)に出版された
「大鏡」の注釈書に目を通していたら、
楾hanzo(半挿)のことがチラと
説明されているところがあった。
時代は平安時代初期〜中期頃。
時の権力者藤原時平の次男、
顕忠のことが書かれたところ。
解説では角盥の図に対して
半挿盥と説明され、角盥とは書かれていない。
角盥
楾hanzo(半挿)
角盥と楾使っているところ
因みにこれは時代はやや下るが
平安時代末から鎌倉時代に描かれた
とされる農家の土間の様子
鼠と思われるものが
二匹描かれているのがおもしろい
兵庫県丹波市氷上町にある
氷上郷土史研究会発行の「冰上」が届いた。
今回注文したのは江戸時代初期の
寺社彫物師の上成松・長兵衛のことが
特集されているからで、
以前紹介した当地の
寺社彫物師集団である中井権次一統
との比較はたいへん興味深かった。
その比較の一つに、
彫られた獅子や木鼻の爪の違いがあり、
なるほど、と納得させられた。
上成松・長兵衛が彫った獅子。
足の爪に注目すると
人間の爪のような形状に
彫られている
この獅子も同様
こちらは中井権次一統により
彫られた獅子
爪が猫科の動物のように
彫られている
爪は猫科のような形状
上成松・長兵衛が彫った木鼻
獅子同様人間の爪のような形状
当地にある棚原天満宮本殿建立のときの記録
建立の際の最初の儀式、
元禄五年(1692年)に行われた
釿初(釿始め)のときに大工や彫物師に
支払われた報酬。
彫物師のことを雕物屋と
記載されているのも興味深い。
こちらは棟上げの際に支払われた報酬
最近観た映画二本
「ヴィヴァルディと私」
そして「ザ•コラール」
「ヴィヴァルディと私」は1716年イタリア
ベネチアの修道院
「ザ・コラール」はその200年後
1916年のイギリス、ヨークシャーの合唱団
どちらも戦時下が舞台
人間の存在意義と音楽の必要性
また作曲家と演奏家の存在意義など
重いテーマではあったが
いろいろと考えさせられた
ヴィヴァルディと私の原作本
ヴィヴァルディと私の原作本
余談になるが、ヴィヴァルディは1741年
極貧の内にこの世を去り
その後忘れ去られてしまうが
180年以上経った1926年
手書きの楽譜が発見され
1930年にはほぼ全ての
自筆譜が揃ったとされている
その経緯にも様々なドラマがあり
一つの映画になるのでは
と思われるほどである
こちらは蝉谷めぐ実さんの小説
「見えるか保己一」
カバーの装画に驚かされる
保己一は江戸時代後期の盲人国学者、
塙保己一Hanawa Hokiichi のこと
小説では保己一の生い立ちから
群書類従を出版するための
版木を準備するところまで描かれている
塙保己一は7歳で失明、12歳のとき母と死別、
15歳で江戸に行き、17歳のときに
盲人の組織である当道座に入門している
当時の盲人の職業は鍼灸、医術、
音楽(平家琵琶を弾きながら平曲を語る琵琶法師
地唄、箏曲など)が主だったが
保己一はどれも苦手で
暗記力だけは群を抜いていたので
国学を究める道を選んだ
結果、それまで玉石混交状態だった
出版物を整理、玉だけを選び
新たな出版を企画した
それが群書類従Gunsho-ruiju で
企画してから出版するまで
40年ほどかかっている
塙保己一のことはヘレン・ケラーも
尊敬していたらしい
塙保己一
群書類従の版木
版本
大正時代に再編纂された群書類従
手許にあるもの
右の第十九輯の管絃部には
琵琶の説明

先日製作した角盥

そして注ぎ口を付けた楾hanzo
これらを作る際に
参考にした資料の一部を紹介
雄山閣から出版されている
木工の考古学
轆轤rokuroは弥生時代から
使われていたようだが
現物は確認されておらず
轆轤で作られたとされる木製品は
状況証拠として確認できる
しかしながら
研究者の意見は分かれているようだ
奈良県の弥生時代の遺跡
唐古遺跡から出土している木工品
右のものは刳り加工と思われるが
左側の2点は轆轤による加工と思われる
これは上の画像のものと
同様のものか・・
轆轤は描かれているものとしては
14世紀のものが最古とされているようで
弥生時代のものも
それほど違わなかったものと思われる
加工されたものは古墳時代のものと
奈良時代のものに
口径46cmのものがあるのには
驚かされる
古代西アジアの轆轤
西洋にはこのようなものも
あったようだ
室町時代頃の轆轤師の職人絵
出来上がった角盥と楾hanzoが
セットにされている
これは蒔絵師が角盥に
黒漆を塗っているところ
角盥と楾を使っているところ