久しぶりに
小林秀雄の本を眺めていて
ドキリとした
以下、その文
「八ヶ嶽の山頂は、初雪で真っ白であった。その日は夏沢温泉まで行って一泊する積りでいたが、つい暢気な歩き方をして、意外に時間を費し、夏沢近くなって、近道をしようと本道を離れた。やがて雪は小径を消し去り、登るにつれて深くなる。夕闇は迫って来る。恐らく近道は失敗らしい。引返すのも業腹で、熊笹の中を、ガサガサと一直線に登って行くと、熊笹の中からポッカリ浮び上るやうな具合に、突然、噴火口の縁に出た。誰も予期していなかった突発事件にでも出会ったやうに、不意に足下に現れた雪で化粧した、すさまじい急斜面を見下し、一同息を呑んで、立竦んだが、真っ白な火口の正面には、三角形の赤嶽が、折からの夕陽を受け、文字通り満身に血潮を浴びた姿で、まるで何かが化けて出たやうに、ヌッと立っていた。口を利くものはなかった。お互に顔を見合せ、めいめいが、相手の顔に自分の蒼くなった顔を感じた。」
上の写真は赤嶽だが
小林秀雄が体験した
雪の噴火口の際から眺めた
夕陽で染まった真っ赤な赤嶽は
こんな感じだろうか
(ネットで拝借した画像を
赤く処理)
他に誰か絵に描いていないか
と、数日いろいろと
探してみたが
見つからなかった
そうしたところ
本棚の奥の方に有元利夫の
画集が目に入り
パラパラとめくってみたら
あった
これがそれ
赤嶽を表現したものではなく
また、版画なので
色は付けられていないが
これを赤く画像処理したら
よりそれらしく見えるのでは
ないか、と、
やってみたのが
これ
こんな雰囲気もある
これも有元利夫の作品
タイトルは出現
これは有元容子さんの作品
山の色は違うが
同様の雰囲気がある
その後手に入れた山の油絵
これもなかなか雰囲気がある