2014年5月27日火曜日

古い会津鉋 重春を入手

古い会津鉋(福島県) 重春銘の鉋身を入手
身幅約44mmの外丸鉋だったが

平鉋用に研ぎ直す
重春は以前、銑センを紹介したことがありますが(参照
それを分割し小刀として使っています(参照
鋼は玉鋼と思われますが
切れ味良く、刃先も強靭なので
この鉋にも期待したいところです

最終仕上げには若狭の田村砥を使ってみた

これはかなり硬めの戸前だが
長い太い筋が全く当たらない
不思議な仕上砥・・

刃先は問題なく研ぎ上がっている
研いだ感じでは鋼の強靭さが伝わってきました

身はかなり薄く、身の両端から中央にかけて
凹状に削ぎ落とされている
これは古い会津鉋の特徴の一つでもあります

特に背側は顕著に凹んでいる



中古の台に収めてみた
以前挿げていた身よりもかなり薄く
このように馴染み面に板を貼り付けた

出来上がり


Maple材で試し削り(YouTube動画UP

動画のコメント欄で
この自家製の万力について問い合わせがあったので
反対面の画像をUPしておきます


粘りの強いメープル材の荒削りでも
威力を発揮してくれました

削り肌の美しく、逆目もほぼ止まっています

その後数日間、仕事でいろいろなものを削りましたが


刃先はまだまだ持っています
かなり強靭で永切れします

小鉋の一員として加わってもらいました
左端が今回の「重春」
その右は新潟与板の舟弘さんの「天酔」、その右は同じく「天慶」
右から二番目は東京の神田さんの「も作」
右端は古い大阪鉋「勘兵衛」

2014年5月25日日曜日

古い大阪鉋 源兵衛と勘兵衛を仕事で使う

昨日紹介した古い大阪鉋
源兵衛寸六と勘兵衛寸二を
仕事で使ってみました
YouTube動画参照下さい



仕事で使った後の刃先の状態


刃先が磨耗しやすいセドロ材を
荒削りしてみました

削る手応えや音がかなり違いましたが
動画で音の違いは
感じてもらえたでしょうか・・
源兵衛は1枚刃ですが
切れが鋭いので
引きは重く感じました

勘兵衛は二枚刃ながら
滑らかな削り感でした

源兵衛の動画撮影後の刃先の状態
やや刃先が磨耗していますが
切れに影響は及んでいません

こちらは勘兵衛
源兵衛よりも刃先の磨耗が顕著ですが
こちらも切れは止んでいません

その後、上の四丁を使ってセドロ材を
荒削りしてみました
左2丁が荒削りに使った勘兵衛と源兵衛
その右は中仕工なかしことして使った
古い会津鉋・重道寸六
右端は仕上げ削りに使った田圃義廣二寸
どちらも鋼は玉鋼と思われます



その後の刃先の状態(源兵衛)
まだまだ大丈夫です

勘兵衛は源兵衛に比べると
刃先の磨耗が激しいですが
まだ切れは止んでいません


2014年5月24日土曜日

古い大阪鉋 源兵衛と勘兵衛


古い大阪鉋
源兵衛(後代と思われる)
寸六を手に入れました
鋼は玉鋼たまはがね
地鉄jiganeはよく練れた和鉄
画像右は以前紹介したことのある
勘兵衛・寸二(明治頃)


源兵衛の地鉄は
江戸後期(新々刀期)の
刀の地鉄のように
よく詰んでいます

この鉋身を中研ぎに三種類の
沼田砥を使って研いでみました
最初に使ったのは
右端の粗めの沼田虎砥
一見、天草備水・赤虎のようにも
見えますが、縞の感じは
九州ものではないように思えます
このような沼田砥には
初めてお目にかかりました

中央は本沼田砥(粒度約1000)
左は通称 瓢箪ひょうたん沼田で
本沼田の下の層になる
ということです
粒度は細かく1200番
といった感じです


粗めの沼田砥
(水に濡れていない状態)

水に濡れた状態


カチリとした硬さですが
良く反応し
心地よく研ぐことができます

地鉄に荒めの傷が付きますが
粒度300~400といった感じ
鋼にはそれほど及んでいません

次に使ったのは浄教寺砥

研ぎ傷が浅く均一で
美しく研ぎ上がります
浄教寺砥が刀剣研ぎに
使われていたのが納得できます

そして本沼田砥

やや反応が鈍いので
目起こしをして研ぎ始めました

粒度は浄教寺砥よりも
細かい感じなのですが
研ぎ傷は荒く付きます
この研ぎ傷の付き方は
砥沢砥など群馬県産の中砥
全般に見られるものです

これは瓢箪沼田


これも目起こしをして研ぎました

これも粒度が細かい割りに
研ぎ傷が荒く付きます

仕上砥ぎの最初は
中継ぎとして京都梅ヶ畑
鳴滝産の戸前を使いました
やや柔らかめで仕上砥としては
粒度も荒めなので
中継ぎとして威力を
発揮してくれます
青砥(中研ぎ)の針気の
多いものを使うよりは
目〆系の天然中砥で
細かく研ぎ上げておいて
この鳴滝戸前のような
粗めの仕上砥で研いだ方が
効率が良いように感じます

参考までに、一昔前までは
鳴滝といえば梅ヶ畑産のものを
総称して呼んでいました


地・刃ともに微塵に曇ります

最後の鏡面仕上げには
滋賀県高島産の戸前を使いました

カチリとした硬質な研ぎ感で
高島産独特のややザラザラとした
手応えがあります

鋼は鏡面に研ぎ上がりますが
地鉄にはやや傷が残ります


よく使い込まれていて
鋼があと1cmほどしか
残っていません・・

砥ぎ終えた状態

こちらは同じ高島産戸前で
研ぎ上げた勘兵衛鉋

鉋かけの様子は