「ありがとう」とはいつ頃から言われているのか
ちょっと気になったので
手許の古文をちょっと調べてみました
古語辞典では「有難し」は本来は「めったにない」
「まれである」という意味だが近世(江戸時代以降?)
「ありがたい」という感謝の念を表すようになったと
説明されています
ということは江戸時代までは感謝の念を表す言葉は
「忝いかたじけない」「辱いかたじけない」
ということになりますが・・・
まず平安時代中頃とされる源氏物語から
「かたじけなく」
同じく源氏物語から「かたじけなうのう」
同じく「かたじけなき」
これらの登場人物の科白せりふを見ると
どれもへりくだった言い方ですね
次は時代がかなり下って松尾芭蕉の手紙から
「忝くかたじけなく」
延宝九年は1681年、江戸時代初期
同じく松尾芭蕉の手紙から
「辱くかたじけなく」
天和二年は1682年、江戸時代初期
これは柳沢吉保の日記(楽只堂年録)
元禄十年(1697年)十一月
元禄十二年(1699年)五月の日記では
「かたじけない」と「有りがたい」の両方が使われています
この頃はその時の気分で使い分けていたのでしょうか・・
これは江戸時代初期~中期
井原西鶴の「世間胸算用」から「有がたき」
刊行されたのは元禄五年(1692年)、舞台は大阪
これは江戸時代後期、文化五年(1808年)に江戸で発行された
版本(読本)「由里稚野居鷹ゆりわか のずえのたか」(参照)
から「有がたさ」
これは明治時代
夏目漱石の小説「行人」から「有難うありがとう」
幸田露伴の「五重塔」から「有難うござりまする」
昭和2年(1927年)初版発行
広辞苑では「ありがとう(有り難う)」 は
アリガタクの音便、下の「ございます」 「存じます」の略された形
感謝の意をあらわす挨拶語 と説明されています
ということは、露伴の「有難うござりまする」は
本来の使い方となり、漱石の使い方は
いかにも漱石らしい口語体と言えますか・・
2 件のコメント:
ありがとう は、ポルトガル語でオブリガーゴといい、それが変形して と言う説もあります。江戸時代に外国との窓口は長崎です。
長崎弁ではオオキニと言うので、洒落者の長崎の人たちが使い始めたのではなかろうか 等と創造の翼を広げています。
ところでキヨンドさんの家が川のそばなので台風11号の影響を心配しています。
台風一過・・
幸いこちらは被害はありませんでした。
なるほどオブリガーゴが転訛ですか・・
いろいろ説があるのですね・・
福岡でも祖母は「おおきに」と言っていました。
上方も「おおきに」だと思うのですが
ブログで紹介した西鶴は上方ですが
世間胸算用では「ありがたい」となっているのが不思議といえば不思議です・・
「おおきに」は口語体として扱われているのですかね・・
広辞苑では「おおきに(大きに)」は室町時代以後の語と説明されていて、
関西地方で使われる「おおきに」は
「おおきにありがとう」の略としています・・
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