2022年1月13日木曜日

松森神社 職人尽彫物絵

 

長崎県にある
江戸時代に寄進された
職人尽彫物絵があり
今でも存在しています
その研究書も出されていて
それを入手

その中から少し紹介しようと
思います
研究書では彫られている
木材については
述べられていませんが
欄間彫刻なので
欅keyakiが使われているものと
思われます
この彫物絵は鼓職人


これは鼓を使っているところ
曲舞舞kusemaimaiのような
三河万歳mikawa-manzai
のような・・

烏帽子eboshi職人

櫛職人が舞錐
使っているところ

排簫haisyou職人

琴師が琵琶を作っているところ

琵琶はとくに
間違いは見あたらないが
琴師の左手、小指?が
折れ曲がっているようで
何かおかしい
以前、大黒天の彫物でも
親指が妙なものを
目にしたことがあるが
未熟な弟子にでも
彫らせたのだろうか・・

2022年1月12日水曜日

描かれた琵琶いろいろ

 

北斎が描いた琵琶の覆手と
同様の形状の覆手が描かれた絵を
発見

これです
半月形が北斎が描いたものとは
上下逆になっているのが
また興味深い

それは法隆寺西園院にあり
描いた人は中国の常書鴻という画家
1980年代に描かれた飛天図のなかに
琵琶が描かれています

飛天の間に描かれている他の作品


こちらは敦煌・莫高窟の壁画
阮咸のような楽器が
描かれています

以下、いろいろな形状の琵琶



飛天図

こちらは法隆寺に収蔵されている
玉虫厨子
正面に飛天が描かれています


2022年1月11日火曜日

土佐国職人絵歌合

昭和43年(1968年)に出版された
土佐国職人絵歌合を紹介
これは江戸時代後期
文化文政期に出された歌合が
紹介されたもので
絵は小さなモノクロ印刷しか
載せられていませんが
以下、歌合を付けながら
紹介しておこうと思います

左右の歌の判者は 海老すき

一番
左:弓打
いつわあれとわきて今宵は丸木弓
うち見る空にすめる月かけ

右:鞍打
立霧にうすくもる夜の月のかさ
きんふくりむのくらと見しはや

二番
左:博士
かしこしな梓の弓に犬神の
うらみもはれていつる月かけ

右:博労bakurou
大空をわたるものいちかたは
たか武者押のためにひくらん

三番
左:鯨突
沖番にまた夜をこめて行船の
いろゑもさやにてらす月かけ

右:茶師
土佐山やあわたつ雲もうちはれて
茶のはなてらす秋の夜の月

四番
左:焼物師
かはらけも今宵はやかし名にしおふ
月を烟のさへもこそすれ

右:檜物hinokimono師
まとかなる月もますみの天下一
鏡のすをやまつつくるへき

五番
左:蝋燭rousoku屋
さやかなる月の夜比はふところの
うちまてかけのさしてこそいれ

右:豆腐toufu屋
ゆく水の底さへすみてかかみ川
家の名におふかけのさやけき

六番
左:棺hitsugi屋
いにしへの野中のひかりしるけれは
月も棺屋をたつねてそすむ

右:とうま
けふもまたほりて帰りし山端に
あととふ月のかけのあわれさ

七番
左:釣鍛冶
大空にたかきさけをかかけつらむ
月も丸輪にすみのほる影

右:梁打
すみまさる梁瀬のなみの月影に
なれもあそふか年魚のひとむれ

八番
左:鰹katsuo釣
棹鹿の角釣針の月のふね
清水七浦かけてこくらむ

右:節切
真清水の深井にかけすむ月にこそ
献上ふしもみかくへらなれ

九番
左:硯suzuri石取
室戸埼はれ渡る夜はかきのから
つきにむかしのしのはるる哉

右:紙漉suki
月影はここをせにとやすみぬらん
青土佐色の庭の浅茅生asajiu

十番
左:山師
材木の相場につれて柳瀬山
たかねにのほる月そうれしき

右:船乗
うらとかたふりにしあとをしのはらや
つきのみふねもこころよすらん

十一番
左:夷廻
家々のくわんしむのみかにっこりと
わらい出したる三か月の影

右:七夕tanabata
秋わまたあさをのはしめたなはたの
かけ絵たふときゆふ月のかけ

十二番
左:座頭
月影はならしも見えぬ雲霧も
はれといふ名をおへるわか身に

右:比久尼bikuni
おほつかなたれにうちとけて月の顔
雲のほうしをぬきてみすらん

十三番
左:取売
仲間市月の夜比は赤坂の
雁のすかしもさやに見えつつ

右:古手furuteかか
久かたの月の桂の男物
衽eri垢akaもなきかけのさやけさ

十四番
左:古家触
桁ketaたるきはりまやはしのあきの月
はやみにこよとふれさらめやは

右:木遣kiyari
さいとりてふりさけ見れは石の口

十五番
左:真言宗
五台山さし登る月をさなからに
月輪観をわかしうる哉

右:禅宗
さししめす指も何せん吸口や
座禅の床にこころ澄月

2022年1月10日月曜日

北斎が描いた琵琶 そして猫


江戸時代後期の画家
葛飾北斎は袋に入れられた
琵琶を描いていますが

絵手本には琵琶本体も
描いています
説明の経政は能の演題で
平経正のことです
平家物語の竹生島詣では
副将軍であった経正は
将軍経盛と共の侍数人と
琵琶湖の水中にある
竹生島に詣で
琵琶の名手であった経正が
琵琶を弾くと袖の上に
白龍が現れたとあります
北斎の絵では白蛇ですが
蛇は龍の化身ともされています

こちらは北斎が描いた猫


これも北斎

ついでにこちらは
16世紀イタリアの画家
アンニーバレ・カラッチが
描いた猫

工房の様子
製作中の楽琵琶

腹板(響板)を接着したところ