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2024年5月9日木曜日

匜 そして絵巻の番匠

 

匜という器
読み方は「はそう」「はぞう」「はんぞう」
と様々で、音読みは「い」
胴に小さな丸い穴が開けられている
須恵器が多く出土していて
用途はいろいろ説明されているが
古代史にも造詣が深かった
小説家の松本清張氏は「笛壺」という
短編で登場人物に
この穴に竹を差し込んで
酒を飲んだのではないかと
想像させている

須恵器の匜







平安時代の匜


こちらは絵巻に描かれている番匠

喜多院職人尽絵

岩佐又兵衛作

鎌倉時代に描かれたとされる
荏柄egara天神絵巻

2024年4月30日火曜日

ボエティウス キタラと弥生時代の琴


5世紀から6世紀のイタリアの賢人
ボエティウス(古代ローマ末期の哲学者、政治家)は
古代ギリシャのソクラテスのように
政敵によって訴えられ、反逆罪で死刑になり
44年の生涯を閉じている
ソクラテスは毒杯を飲まされているが
ボエティウスは拷問によって処刑されたらしい
ボエティウスの著書は日本語にも訳されていて
処刑される前に書かれた「哲学の慰め」は
1969年に出版されたものを持っているが
「音楽教程」はこれまでほとんど見当たらなかった
それが昨年11月に新訳で発刊され
喜び勇んで手に入れた



哲学の慰め


「音楽教程」は当時の楽器と音楽の基本が述べられていて
楽器について興味深いところをちょっと紹介
当時も音楽コンクールが行われていて
通常は楽器に7弦のキタラ(リラという7弦の竪琴を
演奏家用として箱型に改造したもの)が
使われていたが、それを11弦に改造した楽器を
使った参加者が王と監督官に叱責されている

リラ(7弦)

リラを改造したキタラ

ここで興味が湧くのは
7弦の竪琴に単純な構造のリラと
箱型に改造したキタラの存在

これは日本の弥生時代の琴にも同様のものがあり
板に弦を張った単純な構造のものと
現在の琴のように箱型にして
音量が増すように工夫されたものがある
弦の数は5本、6本、7本と様々だが
リラやキタラとほぼ同様なのが興味深い

江戸時代に平田篤胤が著した仙境異聞では
天狗にさらわれた寅吉少年が
仙界で見た琴も紹介されているが
それは真鍮の弦が11本張られている
また、ボエティウスは音楽については
プラトンを引用し「世界のアニマ(魂)は
音楽の調和と結び付けられている」
と述べているが、日本の秀真伝(ホツマツタエ)では
歌と合わせて琴を奏すれば
言語明白になり
五臓六腑(いくらむわた)が整うと説明されている
言霊(ことだま)のはたらきを一層発揮するために
琴は大切なものとされていた
仙境異聞でも、 音楽を伴った仙界の舞
天地の神に捧げるために行われ
そのときにはア・イ・ウ・エ・オ・・の50音が
奏楽に合わせて一言ずつ発せられ
それに振りが付けられているのです


2024年4月18日木曜日

琵琶行再現動画 そして豆平鉋刃口真鍮

 

以前紹介した中国の叙事詩
琵琶行biwakohが映像化
されいるのを発見
正倉院所蔵のものと同様の
楽器と撥が使われていて

トレモロまでなされている


こちらは工房の様子
ハイス全鋼豆平鉋の刃口が
乱れてきたので
真鍮板を埋めることにした


瞬間接着剤で接着



出来上がり

製作中の19世紀ギターの
黒檀バインディング削り



2024年3月13日水曜日

GitternギッテルンとQuinternクィンテルン

江戸時代初期の絵師
岩佐又兵衛(勝以katsumochi)
のことを調べてみようと思って
手に入れた古書
世界恐慌が始まって間もない
昭和6年(1931年)にこのような
論文が出版されているのに驚かされる




この論文集のなかに
「14世紀に於ける伊太利(イタリア)の
音楽”Ars nova“に就て」
というのがあったので
目を通していたら、クィンテルネ
という文字があった
はて?クィンテルネとは
17世紀に出版されたプレトリウスの
音楽大全に掲載されている
Quinternaのことだろうか・・
と気になったので
こういったことに詳しいギタリストの
西垣林太郎さんに教えを乞うた
教えによると、大雑把に言うと、
15世紀頃はリュート以外のネックのある
撥弦楽器をギッテルン(Gittern)と
呼んでいたのだそうです
GitternはQuinternとも呼ばれていて
ですから紹介した論文にある
14世紀イタリアの天才的オルガン奏者の
ランディーノが他に演奏していた
クィンテルネは

このような楽器であった可能性大です



Gitternギッテルンと
Lautenラウテン(リュート)の特徴として
リュートは背面部が細長い薄板(リブ)を
貼り合わせて作られているのに対して
ギッテルンの背面部は一本の木材から
彫り出して作られています
この動画の楽器は
現在再現されたものなので
背面部は一木造りではなく
リュートのようにリブを
貼り合わせて作られています

ランディーノが演奏していた
楽器の説明 参照サイト

17世紀に出版された
プレトリウスの楽器大全で
紹介されているQunterna

拙作のクィンテルナ


2024年3月4日月曜日

描かれた楽器、犬、壺


親戚の子供が描いたもの
対抗して

わたくしの作品

これも

電子レンジでチ〜ンした肉まん

13世紀、鎌倉時代に
描かれたとされる「住吉物語絵巻」
に描かれている楽器
琵琶は後向きに立てかけられていて
遠山enzanも描かれている


板戸に描かれた犬というのも面白い






壺はこんな感じか・・