2025年10月24日金曜日

バロックマンドリン、ヘッドの長さ

 

次回製作する
バロックマンドリンは
Stradivari Mandolin
ストラディヴァリ
1706∼1720年頃作とされる
Mandolino Coristo
通称コリスト•マンドリンを
参考にするのだが
この楽器は最近日本で出版された
マンドリン専門書でも
紹介されていて
各部分のサイズも
記載されている
それを元に原寸図面を
描いてみると
寸法の辻褄が合わない
ということが判明した
同書では楽器の全長521mm
ボディ長さ250mm
弦長318mm、ヘッド129mm
と説明されていて
楽器の下端からブリッジの
上部までを55mmとすると
そこから弦長318mmを足して
373mm、ナットの厚みを
4mmとすると
ナット上部までは373mm
そこからヘッドになり
ヘッドの長さ129mmを足すと
楽器の全長502mmになる
説明の全長は521mmなので
19mm足りない
ということはヘッドの長さの
説明数値が間違っている
ということになる

1706∼1720年頃作の
印刷されたものを
測ってみると全長63mm
マンドリン専門書では
実際全長は521mm
と説明されているので
縮小率は8.27

ヘッドの印刷物は17mm
これを8.27倍すると141mm
これが実際のヘッドの長さに
近いということになる

1680年製も同様に測ってみると
全長は62mm
実際の全長は503mm
と説明されているので
縮小率は8.11

印刷物のヘッドの長さは18mm
これを8.11倍すると
146mmということになり
(因みに販売されている
この楽器の原寸図面は145mm)
1706∼1720年頃作のものより
5mm長いということになる
専門書の説明では
ヘッドの長さは
1680年製が162mm
1706∼1720年頃作が
129mmとなっていて
違いは33mmもある
5mmと33mmでは
かなりの誤差である

インターネット上に
公開されているこの図では
全長とボディの長さのみ
記載されているが
これでは楽器全長は
511mmとなっている

余談として
この説明の赤線部分
ヘッドのペグの1つは
後から開けられたと
書かれている

このヘッドの長さに
5本めのペグは
間隔が狭すぎるので
無理があると思っていたが
後付けということで納得できた
因みに先に紹介した
最近日本で出版された
マンドリンの専門書では
ストラディヴァリ作
1860製作のマンドリンも
紹介されていて
ヘッドの長さは162mmと
記載されている
ところが、この楽器は
原寸図面が販売されていて
手許にあるその原寸図を
測ってみるとヘッドの端から
ナットまでは145mmである

ナットまでは145mm

よくよく観察してみると
長さを測る場所による違い
かもしれない、と
いろいろな測り方をしたが
162mmというのは
どこにもなかった
左は1680年製のヘッド
右は1706∼1720年頃作とされる
Mandolino Coristoのヘッド
撮影角度がやや違っているが
ネックの厚みやナットの厚みを
だいたい揃えると
だいたいこのような感じで
マンドリン専門書で
説明されているヘッド長さ
30mmの違いはないように思える
ということで
今回製作するものは
全長515mm、弦長310mm
ヘッドの長さ、ナットまで140mm
とうことに決定した


上の2枚はChatGPTさんに
質問した際の返事
AIはかなり広範囲に
調べてくれるようだが
間違った情報も平気で
それらしく確信をもって
示してくれ
あまり信用できないので
何度も念を押したが
「1680年製と1706∼1720年製は
情報が交錯していて
紛らわしいので注意が
必要です」とAI本人も
言いながら、サウンドホールの
直径などは何度念を押しても
違ったサイズを教えてくれた
上の2つの情報も楽器の全長は
502mmとし、ヘッドの長さも
148mmと、やや違っている
ような気もするが
マンドリン専門書の129mm
よりはましかもしれない

そうして描いた原寸図


ボディの深さも
どこにも記載が見られず
ChatGPTさんは56.2mm
としているが
これは1680年製のものと
思われ、信用できないので
こちらでやってみたら
約62.8mmとなった
サウンドホールの直径は45mm
ブリッジの弦幅は
オリジナルよりもやや狭くした

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