2013年2月18日月曜日

重勝銘鉋刃の焼き入れをやり直しました

先日手に入れた古い会津鉋
重勝銘四方反り鉋刃の焼き入れをやり直しました
私の焼き入れのやり方については
以前紹介しましたのでそちらを参照ください

この鋼(はがね)は炭素鋼系ですが
グラインダーにかけた火花の飛び方では
炭素量がそれほど多くない感じを受けたので
低めの温度で焼き入れをし、焼き戻しをしないことにしました
合わせて、焼き入れに使う水を35度ほどの温度にしてみました





研ぎ上げてみると適度の焼きが入っている感じがします


刃先部分にみえる異物は混ざり鉄でしょうか・・
切れが悪い場合はこの部分は削り落してしまう必要があるでしょう・・
鉄肌の景色は出土した古代の刃物に似た雰囲気があります

裏研ぎの動画

これは一枚刃鉋で、また身幅が32mmと狭いので
裏押し用の金盤を使わずに、砥石だけで仕上げていきます
この際、金盤を使った裏押しでも言えることですが、
金盤や砥石の歪の悪影響を受けないために
出来るだけ短いストロークで刃物を動かします



転がし研ぎの動画

外丸鉋刃を研ぐときは、私は平らな砥石を使って転がし研ぎをします
こうすると1種類の砥石で様々な外丸鉋を研ぐことが出来ます



刃先に返りが細かく残っているので
鋼に適度の粘りがあるようです



刃先を拡大しても焼き戻しの必要はなさそうです




今回の研ぎに使った砥石
左から使った順で、シャプトン「刃の黒幕#1000」
次の黒っぽい砥石は京都亀岡・岡花産青砥(粒度約#1500)
次は愛知県産三河名倉・アツ層のものと白名倉
右の2丁は仕上砥石で、左が京都新田産戸前
右は京都梅ヶ畑・中世中山間府のものです



2013年2月16日土曜日

クラシックギター展&コンサートの様子


2013年2月9日~10日
大阪府茨木市立生涯学習センターきらめき
で開催されたクラシックギター展&コンサートの様子を
少し紹介しておきます

会場入り口



初日の9日は「きらめきホール」で楽器の展示が行われました






2日目の10日は1階の工作室で






1階エントランスではランチタイム・コンサートが企画され
地元のギター愛好家の方々による合奏も披露されました



地元茨木市のギタリスト藤村良氏と


遠く茨城県から駆け付けてくれた大島直氏による
展示楽器の弾き比べも行われた



両日に渡って行われた製作家・丸山利仁氏による
ギター製作のレクチャーも内容の濃いもので
参加者の熱い視線を集めていました


手持ちのデジタル・カメラで動画撮影しましたが
離れていたため、音の入りが悪く失敗・・
一部YouTubeに限定公開しておきます




レクチャーでは丸山氏製作の3台のギターも展示され
ギタリストによる弾き比べも行われました


こういった試みは製作家にとってたいへん有意義です
引き受けて下さったギタリストに感謝です




展示楽器の弾き比べコンサートは
2月10日に3部構成で行われた
写真左から本郷道太氏、寺町誠氏、私、井内耕二氏、丸山利仁



ギタリスト北口功氏は製作家一人一人に
インタビューも行うという八面六臂の活躍
左から二番目は地元茨木市在住の製作家・福田寛紀



18名の製作家のギター18台に
バルベロ・イーホ、A・フェルナンデス、H・ハウザーを加え
合計21台のギターで2曲ずつ演奏するという
離れ業を北口氏は難なくやってのけられた・・

演奏曲目に同じ曲はなく、42曲をすべて暗譜で

しかもほとんどノーミスで演奏・・プロ演奏家の凄さを実感・・



私は19世紀ギターのLaprevotteタイプを弾いてもらいました
唯一小さなボディの楽器だったため
演奏家にとっては酷なことだったと思いますが
快く引き受けて下さった北口氏に改めて感謝します







2013年2月15日金曜日

工房の様子



製作中の2台のLacoteタイプ
ネックとヘッドのジョイントを仕上げました

この後ネックを仕上げ、Ebonyのベニヤを巻き付けます
黒檀のベニヤ(厚さ0,5mm)は2日ほど水に浸けてから接着します







会津鉋 重勝銘の四方反り鉋を入手

古い会津鉋、重勝銘の四方反り鉋を手に入れました
身幅は32mm





錆がかなりひどい状態でしたが





裏を仕上げ、研ぎ上げてみました


刃の部分をグラインダーにかけてみると
炭素鋼系ですが、部分的に火花の飛び方が違います
玉鋼のように純度の高い鋼ではなく
卸し鉄のようなものが使われているのでしょうか・・
加えて、焼きがほとんど入っておらず
このままでは使える状態ではありません
後日、焼き入れをやり直すことにします

2013年2月13日水曜日

国弘鉋を入手


昔の職人さんが使っていた古い鉋を手に入れました

銘は国弘の寸八
裏出しを試みましたが
強靭でほとんど出すことが
出来ませんでした
これ以上やると
地鉄(じがね)がやられて
しまうので断念・・

この鉋身は刃角度が30度ほどで研がれていたので
研ぎ面全体をグラインダーで約28度に修正しました

研いでみると硬い研ぎ感で
焼きが入り過ぎているのでは・・と不安がよぎりました
研ぎ上げてみると案の定、刃先はこのように荒れていて
これではちょっと仕事では使えません・・

台は古い状態のものを全体に表面を削り



刃口を補修しました

セドロ材を削ってみましたが削り肌が荒れています

そういうことなので
焼き戻しを行いました
今回は約190度で
40分ほど行いましたが
改善されなかったので

石油ストーブに乗せて
焼き戻しました
温度は250度ほどになっていた感じです・・

これで改善されました
研ぎ感に硬さごまだ
残っているので
かなり強靭な鋼と思われます

鉋屑にも艶が出ました

削り肌も滑らかになり
これで仕事で使える
レベルになりました