2010年11月7日日曜日

滋賀県出土の手焙り形土器


滋賀県では弥生時代後期から古墳時代にかけて使われていたとされる、手焙り形土器が多く出土しています。手焙り形土器に関しては高橋一夫氏による研究論文(1998年出版)がありますが、それによると、滋賀県では1998年までの時点で発見されている個数は132点に及んでいます。この数は大阪府と並んで全国最多の出土数ですが、興味深いのは、滋賀県で発見されているもののほとんどが、琵琶湖の東側に集中しているのです。琵琶湖の西側では南部の大津市で4点、中部の高島市で1点発見されているだけです。先日紹介した志賀町史でも、当地からは出土していませんが、手焙り形土器が滋賀県から多く発見されていることに触れ解説されています。ところが、この土器についての最も重要な、内部の付着物、とくに煤については誤った記述がなされています。この志賀町史第一巻は、出版されたのが平成八年(1996年)となっているので、高橋氏の研究論文が出版される2年前となり、執筆者も当時の一般的な認識として書かれたのだとは思いますが、誤りはなんとか訂正する手立てを講じてほしいものです。

とは言っても、高橋氏の論文でも、手焙り形土器の用途は不明とされていて、加治木義博氏によるインドでの近年までの使われ方の指摘は無視されています。
無視ではなく認識不足だったのかもしれませんが、加治木氏の指摘は昭和58年(1983年)に発表されているので、加治木氏の著書が学術論文ではなかったにしても、全く知らなかったということなら学者として勉強不足、あるいは
探求不足ではないでしょうか。それとも故意に無視されているのでしょうか。不可解なことであります。







これは滋賀県大津市で見かけた
手焙り形土器のような?洞(うろ)がある木

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