2011年9月20日火曜日

アルコールニスの原料、セラックを薬研で砕く シェラック・ニス


今日から本格的に
ニス塗りを行います


ニス塗りの動画は
参照ください
フレンチ・ポリッシュ仕上は

アルコール・ニスの
レモン・セラックが 
ちょっと足りないようなので
今のうちに
溶かしておこうと思います
これはセラック・レモンの
原料でフレーク状に
なっています 

レモン・セラックは
溶解しにくいので
できるだけ細かく砕きますが
まず日本で古来から
使われてきた
薬研(ヤゲン)
おおまかに砕きます
この最初の砕きは
ヨーロッパでは
布に包んで槌で叩いたり
するようですが
いろいろと試した結果
この薬研が最も具合が
いいのです

 薬研はその字のとおり
本来は漢方薬などを
砕くために考案されたものの
ようですが
これを考え出した人を
尊敬します
因みに、ボタンセラックなど
フレーク状ではなく
厚みがある原料は

次にコーヒーミルでさらに
細かく砕きます
まさかコーヒーミルが
こんなところで
役に立つとは
思いもしませんでした・・
動画をUPしました

砕いたセラック適量を瓶に入れ
3倍ほどの容量のアルコールで溶かします
私は変性エタノールを
使っています

アルコールを入れ
瓶を振って撹拌すると
間もなくセラックは
ゲル状に固まり
瓶の底に沈殿します
瓶を立てたままにしておくと
底で固まったセラックが
溶けにくいので
写真のように斜めに
立て掛けておき
2~3時間おきに瓶を1/4ほどグルリと回転させます
そうすると底に溜まった
ゲル状のセラックが移動し
撹拌され溶けやすくなります
こうすると数日で溶けますが
私は念のため
1週間ほど放置しています

完全に溶けたら
濾し紙で濾過します
これは以前溶かしておいた
レモン・セラックです

セラックの原料は
精製の状態にもよりますが
変質するとアルコールに
溶けなくなります
これまでの経験では
レモン・セラックで5~6年
無色セラック(Shellac sun)だと3年ほどで変質します
ですから私は原料はドイツから少量ずつ取り寄せ
無色セラックは
冷凍保存しています
参考までに輸入先はHAMMERLです


4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

レモンセラックの精製は御刀研磨の仕上げに使う拭い液の作り方に似ています。
拭い液は、刀を叩くときに飛び散る鉄をかき集め、それを薬研で細かくしたあと、乳鉢で更に細かくします。
十分に細かくした鉄粉に、椿油を加えそれを和紙で漉したら出来上がり。
研師によって、更に色んなものを添加していきます。
出来上がった液は真っ黒です。
お刀に着色するのではないのですが、何故か拭いをかけると鉄の青みが増します。・・・・不思議です。
ところで、斜めに置く理由がわかりません。
若しかすると、口から溢れ出さないように?
4分の1というところが・・・・秘密ですね、ゆっくりとゆっくりと・・・しかし、この方法ではワインの底に澱が溜まっていくように残りそうなんですが、上手く溶けるんですね。
           源 信正

楽器製作家 田中清人 さんのコメント...

拭い液を作るときにも薬研を使うのですか・・
薬研おそるべし。

瓶を斜めに置くのは、底に固まったセラックを動かすためです。
かなりしっかりと粘って固まっているので
真っ直ぐに立てたままでは動かしようがないのです。
斜めに立てておくと、瓶を回転させた際に
じわりと底のセラックが移動し、より早く溶けるのであります。

平田 和久 さんのコメント...

15年前に購入していたセラックを、無水エタノールで溶解させようとしたのですが、なかなか溶けなくなって原因がわからなかったのですが、3年から5年すると変質するのですね。特に透明セラックは、ほとんど解けません。ビニール袋に乾燥材を入れただけでは、変質してしまったようですね。悩みが解決しましたが、変質したセラックは、もう使えないのですね。知識が無くて、大量に購入していたことがショックです。オレンジいセラックは、半分程度は溶解しているようですが、溶解した部分も使えないのでしょうね。国内でもセラックは販売しているようですが、在庫年数や、保管方法など、変質対策が、気になります。変質していないか、見分ける方法などご存知でしたら、ご教授いただければありがたく、よろしくお願い致します。
                                   工房 夢弦 平田 和久

楽器製作家 田中清人 さんのコメント...

セラックの原料は劣化を見た目で判断することは不可能ですので、私は出来るだけ少量(5年ほどで使いきる量)を入手してます。
アルコールに溶かしてしまえば劣化はあまりしないようなので原料を手に入れて5年ほど経ったらアルコールに溶かして保管する、というのも一つの方法かと思います。
原料を手に入れる際には、製造販売しているところから直接購入されることをおすすめします。
日本では「日本リノキシン」
http://www.nlinoxin.co.jp/

アメリカの「Shellac.net」
https://www.shellac.net/

ドイツの「HAMMERL」
https://www.joha.eu/shop/en/