2021年11月30日火曜日

井蛙抄 挿絵入和歌 覚書 四


井蛙抄から
岩くらの
小野の秋津に 立雲の
はれすそ鹿の
つまをこふらん

白雲の 
春はかさねて たつ田山
小倉の峰に
はな匂ふらし

駒とめて
袖打はらふ 陰もなし
さののわたりの
雪の夕くれ

波風も のとかなる世の
春にあいて
網のうら人
たたぬ日そなき

なくせみの
はにおく露に
秋かけて 木陰すすしき
夕くれの声

よしの川
岩もる水の わきかえり
色こそ見えね
下さはきつつ

おもひ出は
おなしなかめに
かへるまて
心に残れ 春の曙

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