製作中の楽琵琶の腹板
こちらは槽(背面板)の
腹板(響板)との接着面からの
彫り方について
鎌倉時代に著された
「八音抄」では
「膠付きの面(接着面)は四分(約1.2cm)に弱きほど内の深さは五分(約1.5cm)にいきたる程少したをみ(撓み)たるやうにゑる(彫る)べし。すぐにゑりたるは悪ろし。」とされています。
これは、接着面から直角に彫り込むのではなく弧を描くように斜めに彫り込み、そこから槽の板厚を決めていく、というふうに理解できますが、以前修復したことのある500年ほど前の琵琶も、槽の彫り込みはそのように為されていました。
このことを少し考察してみると、琵琶の周囲は鐘の構造に似ていると言えます。そういった構造では、鳴らされた鐘の振動は先端部の厚みで押さえられ、そこが振動の節となって振動が永続しやすく、音に余韻を与える効果があるように感じます。音質も締まった感じになるのではないでしょうか。そういった構造は撥弦楽器には向かないような気もするのですが、それをやってしまっている、というのには、やはり何か根拠があるのでしょうね。たいへん参考になります。
今回、製作中の琵琶の槽
琵琶の基本的な構造
釣鐘の構造
古い鐘の内部は
荒く仕上げられていますが
これは技術が稚拙なのではなく
意図的に為されているのだと
私は思う
対照的に
江戸時代の鐘の内部は
滑らかに仕上げられている
鼓の構造も琵琶同様
革が当たる部分からの
彫り方は弧を描くように
加工されている
銅鐸の先端部は平坦だが
音を鳴らす振り子が
当たる部分に肋が
作られていてそれが
振動の節になっている
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